コラム

 公開日: 2012-09-28 

リーダーコーチング② 二代目社長の悩み

ある中小企業の二代目社長、50代のTさんからこのような悩みを打ち明けられました。
二代目社長のTさんの周りには創業者の父親の片腕と呼ばれた役員が数名、今でも影武者のようについているそうです。
自分のことをまだまだ半人前と思っているようで、社員の前でも時々父親が息子を諭すような言い方をしたり、『もうそろそろ社長と呼んで欲しい』とお願いをしているそうですが、いまだに『〇〇さん』と名前でしか呼んでもらっていないとのことでした。
会社を父親から受け継いだ当時は、父をサポートしていた役員などに守られている安心感で、むしろ伸び伸びと仕事に取り組めたようですが、世代交代をして10年が経ち、そろそろ自分らしさを打ち出したいと思っているにもかかわらず、その先輩たちに舵を握られてしまい思うように会社の方向性、向きを変えることができない状態になってしまったそうです。
「社長として認めてもらっていない。一人前に扱ってもらえない」という思いがストレスとなり、会社の業績が順調に伸びているにもかかわらず、自分の仕事に対して自信が持てず、絶えず焦りや不安を感じるようになりました。
自分の不甲斐なさを感じると共に、大先輩である大御所たちの存在が重荷となってきたのです。
そこで当初は会社のリーダー研修をさせていただく予定でしたが、一旦それは保留にして、まず二代目社長Tさんの本音をじっくりと聴く個人セッションからスタートすることにしました。
1週間に1回、1時間の個人セッションで、最初は当たり障りのない建て前論が話の中心でしたが、『何でも話していいんですか?」「いい年をして子供みたいだと笑わないでくださいね・・・」そんな前置きの後に、Tさんは徐々にご自分の本音を話してくれるようになりました。
「何をしても、いつも父親と比べられる」「二代目は苦労をしていないと言われる」「今までのやり方を変えようとすればするほど、社員や役員との気持ちのズレが大きくなっているようで、焦りを感じる」「自分は社長の器ではないのだ・・・と思うと不安を感じて自信が持てない」など、ご自分の正直な気持ちを言葉に出してくださるようになりました。
私はビジネスコーチとしてTさんに正直な気持ちを伝えてくれたことに対して感謝の気持ちを伝えました。今までご家族や友人にも話したことがない『封印』していたTさんの本音なのです。
するとTさんの表情が変わってきました。
話をしているときのTさんの頬が高揚してうっすらと赤くなり、Tさんの中から次々と『本音』が溢れだし、話が止まらなくなってきたのです。
『辛い、悲しい、苦しい、辞めたい、投げ出したい、泣きたい、憎らしい、恥ずかしい、羨ましい、疲れた、無理だ、不安だ・・・』これらの言葉は一見リーダーとして言ってはならない&思ってもいけない感情だと思い込んでしまいがちです。
これらの感情は人として誰でも持っているもので、社長が特別なハートを持つ必要はありません。
悲しい時は悲しい、苦しい時は正直に『今苦しんでいる』と言えばいいのです。
本当に自分のことを信じて応援してくれる人、困った時に思わず顔を思い出す人、話を聴いてもらうだけで気持ちが落ち着く人、自分の周りを見回していなければプロのコーチを雇ってでも吐き出してみることをお勧めします。
話しながら自分の本音に気が付いたり、『このひと言が言えなくて今まで苦しかった!!』というひと言を吐き出すことで、気持ちが軽くなりスッキリしてきます。
その後Tさんは、自分が社長として自信を持てないのは周りにいる役員たちのせいだと思い込んでいたのだと気が付き始めました。
できない理由や上手くいかない言い訳としてその原因を誰かのせいにしてしまうことはとても簡単なことですが、それでは組織のリーダーとしては務まりません。
たとえ嵐が来ても何とか打開策を練り、舟の安全を守りながら舵を切るのが船長であるように、社長も舵を手放して、嵐のせい、航海士のスキル不足や船の調子が悪いから…と言い訳をすることは許されないのです。
Tさんは話しながらもう一度役員の顔一人一人を思い浮かべ、本当は自分が甘で、息子ほど年の違う自分を盛り立てて頑張ってくれている役員たちに心から感謝の気持ちが湧いてきたそうです。
『では、次は何をしますか?』という私の問いに、スッキリした表情のTさんがこうおっしゃいました。『次にすることは、勿論この感謝の気持ちを役員に伝えることです!』
社長との個人セッションで、社長が自ら大きく舵を取ったようです。

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