コラム

 公開日: 2015-05-22  最終更新日: 2015-05-23

認知症の方へのカウンセリング・・・生活の質の向上と尊厳のある生活の維持

前回、血管障害の認知症についてのブログを書きました。
認知症は脳が物理的に変化した=損傷したことが起こる病気なので、薬物療法が主体になると説明しましたが、その一方で、心理療法であるカウンセリングも重要な役割を担っています。

今日は認知症に対するカウンセリングの効用についてまとめてみます。

カウンセリングから認知症へアプローチ

認知症の主な症状は、記憶障害(物忘れ)や見当識障害(今、どこにいるのか、今、いつなのかわからないなど)で、それに加えて、徘徊や、尿・便の失禁、また、介護者に対する暴行や暴言などの問題行動があります。

このような問題行動は、認知症高齢者ではよくみられ、介護者にとっては非常に大きな負担となっています。
近年、このような問題行動を低減することを目的とした認知症の患者様に対するカウンセリングの重要性が認識されつつあります。

認知症の方に対するカウンセリングの目的

このような認知症の方に対するカウンセリングの目的は、生活の向上と人間としての尊厳のある生活の維持にあります。
少々の問題行動や時にある逸脱行動があったとしても、家族とともに会話し、つつがなく、元気に毎日をおくれることを目指します。
コギトラボで、具体的に目指しているカウンセリングの目的は次の3つです。


(1)思い出を語ることで楽しい、嬉しいなど、ポジティブな感情をもつ

まず、楽しい、嬉しいなど、特にポジティブな感情体験をしていただくことに努めます。
このようなことを体験していただく手法としては、コギトラボでは、「回想法」を主に行っています。
これは、クライエントの方の思い出に対して共感的に傾聴する姿勢でクライエントの方のポジティブな感情に意図的に働きかける方法です。

認知症の中核となる症状は記憶障害ですが、一般的に近い記憶から(近時記憶)から忘却が始まります。
古い記憶(遠隔記憶)の思い出にアプローチすることにより、楽しかったこと、嬉しかったことが思い起こされ、ポジティブな感情が刺激されて、結果、不安やがイライラ感の低減して心理的な安定が得られ、場合によっては行動面の問題(例:歩き回る)が減少したりします。
また、記憶力の改善のトレーニングにもつながります。

(2)日常の活動性を高めてより良い精神活動を維持する

二番目は、ご家族の協力も得ながら日常生活における活動性を高めることを目的としたサポートを行います。
特に睡眠障害によって、不規則な生活や寝てばかりの生活が続くと精神活動に悪影響を及ぼし、場合によっては、認知症が進行することもあります。

例えば、認知心理療法の簡易な手法を取り入れて、1日の生活記録を楽しくやり取りすることをカウンセリングで活用するなど、一緒に楽しく行うことにポイントにおいて、不規則な生活の改善にアプローチしていきます。
活動性が活性化して精神機能が活発化すると、よいよい精神健康の維持だけでなく、自発性や集中力を高めたり、意欲を向上させる効果も期待できます。

(3)コミュニケーション能力の促進を図って脳のトレーニングを行う

三番目は、いろいろなやり取りの中で、コミュニケーション能力の促進を計ります。
コギトラボでは、様々な心理テストを組み合わせて、それをゲーム感覚で取り組んでいただくことで、脳に刺激を与え、またそのやり取りを通して、コミュニケーション能力のトレーニングも行います。

また、それらの作業を通して認知能力の評価を行い、経過を観察も同時に行います。

私の経験では、大学院で認知症の方に心理実験の協力をいただいていた時、結果的にそれが脳のトレーニングとなっていたのではないかと考えられるいくつかの事例を見てまいりました。


一般的にカウンセリングというと、何か困っている、悩んでいることを対象にしてカウンセラーと話をするというイメージが強いですが、認知症のように脳に何らかの問題がある病気に対してもカウンセリングは有効な方法です。
ちょっとそのようなことも心の隅に置いておいていただければ何かの時にお役に立つかもしれません。

今日の記事がどなたかのご参考になれば幸いです。

************************************
コギト・ラボでは神経心理検査、および知能検査を用いた
認知症の方の認知機能の評価と
それをデータにしたより良い日常生活の質を維持する
カウンセリング、回想法を用いたカウンセリング、
および、ご家族の方へのカウンセリングを行っています、
コギト・ラボのホームページもご参照ください。
http://cogito-labo.com
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