コラム

 公開日: 2015-06-11 

ものを忘れる ………一口では説明できない、多種多様さ

記憶とは何か・・・・・・「物忘れ」の理解の第一歩


ものを忘れる...と私たちは日常、普通に表現します。

しかし、その忘れ方は神経心理学的には多種多様。
物を忘れることについて、記憶というプロセスの観点から今日は記事を書いて見たいと思います。

記憶のプロセス= 記銘→保持→想起

記銘→保持→想起という段階が一つになって初めて「記憶」しているということになります。

これをパソコンで例えると、
記銘はインプットの段階、キーボードで入力段階です。

保持は、入力したファイルを保存する段階。

想起はアウトプットの段階で、検索をかけて必要なファイルを探し出し、画面に表示する段階です。

このどのプロセスが欠けても、記憶はできません。
言い換えると、これらのプロセスが一つでもかけた状態は「忘却」という状態になります。

パソコンでも同じ、どのプロセスが欠けても、パソコン壊れたぁ❗️と大変ですね。

記憶の神経心理検査・・・「記憶が異常」か否かを基準から評価

ものを忘れることは、日常茶飯事。
それ自体は、問題でもなんでもありません。

病気的にものを忘れるとはどういうことか、
これは、何をもって異常と正常の線引きをするかという問題になるので、今日は細かいことをさておき、とりあえず、

  「日常生活に支障が出るレベル」

と考えていただければよいと思います。

この「支障が出るレベル」を、多くの人たちのデータをとって標準化して測定できるようにしたのが

  「神経心理検査」

です。
通常、神経心理検査ではカットオフポイントという基準が設定されており、これを下回ると異常有りと考えられます。

記憶障害は、どこに視点を置くかで多種多様

話は、記憶にもどって、記憶に問題がある障害を総称して記憶障害と呼びます。

前述しましたようにこの記憶障害は様々。

たとえば、「記銘」に視点をおけば、新しく起こったことを全く覚えられない記銘障害。

「保持」のプロセスに視点をおけば、ついいましがた起こったことをすぐ忘れてしまう短期記憶障害、
これまで長期に渡って保持してきた内容(例えば、自分の名前)を忘れてしまう長期記憶障害があります。

ちょっとややこしいのは、「今日は何日だかわからない。」、「ここはどこだかわからない。」というのは「わからない」ので記憶障害ではなく「見当識障害」になります。

「想起」のプロセスは、少々複雑です。
たしかに保持はされているのだけど、思い出せない、たとえば、芸能人の名前がのど元まで出ているのに、でてこない、これは想起ができないだけで、確かにどこかに保持されているのだけれども、心理学的には「忘却」になります。
こういうことは、疲れているときなど健常でも起こりますが、常に起こるような場合は問題ありと考えられます。

さらに「想起」の問題の複雑さは、例えば失語症の方が、単語が想起できない場合は語想起障害といい、通常、記憶障害というよりも言語の問題として考えられる場合が多いです。
また、何らかの損傷を脳に受けた後でその時点よりも過去の自分の歴史の一部や全部を忘れる健忘(逆行性健忘)は、想起の問題と考えられ、さらにさらに複雑なことには、記憶の喪失や減退だけでなく過剰な増進(例:トラウマになっている出来事が、今また目の前で起こっているかのように想起してしまうPTSDのフラッシュバック)も想起の問題に含まれます。

記憶機能を自覚する方策としての神経心理検査

 今日はポイントをおきませんでしたが、記憶する対象によってもまた異なる障害となります。
たとえば、言語的な記憶に障害があるのか、視覚的な記憶に障害があるのか、知識の記憶に障害があるのか、思い出の記憶に障害があるのかなどなど。
これらの種々の記憶障害に対応する形で様々な記憶の神経心理検査が開発されています。
例をあげると、BVRT ベントン視覚記銘検査、三宅式記銘力検査、リバーミード行動などがあり、コギト・ラボでもこのような記憶検査をおこなっています。
記憶障害はなかなか自覚が難しく、問題があると日常生活に大きな支障をきたすものの、自分で認識がないと方策はたてづらいです。
脳の健康診断として私どもの方で神経心理検査を活用される方も多く、神経心理検査のこのような効用も知っていただければと思います。

と、何かしら、いっぱい書いてきて、最後に宣伝してしまいました。
とりあえず、単純ではないということを知っていただくことを今日のテーマの目的として、細かな障害についてはまた後日、あらためて記事に起こしていきます。

今日の記事がどなたかの参考になれば幸いです。
            

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