コラム

 公開日: 2015-06-26  最終更新日: 2015-06-27

認知症?・・・内科的病気が引き起こす二次的症状

認知症・・・という言葉は良く聞くけれど・・・

今日は、内科的病気と「認知症のような症状」との関係について記事を書いてみたいと思います。

認知症については以前の記事で認知症の方へのカウンセリングについて書きました。
認知症というのは、一般的な意味では脳の物理的な(=器質的な)変化を伴って認知機能が低下した状態を指します。
正確に因果関係はまだ解明されていませんが、認知症の患者様の脳画像では脳の萎縮や脳血管障害の後遺症としての脳細胞の壊死が観察されます。

脳画像に異常がみられない認知症の様な症状

しかし、脳に器質的な変化は見られないにもかかわらず、認知症のような症状が観察されることがあります。
このようなケースでは、ずっと認知症ではなく、時々認知症になるような症状が観察されることが少なからずあります。
いわゆる「まだら認知症」といった状態です。

実際どのようなことが脳で起こっているのでしょうか。
相談を受けたAさんのケースを例にあげて説明したいと思います。

Aさんは過剰飲酒が原因と思われる肝硬変を長らく患い、肝臓ガンに移行した病を持つ方でした。
がんによる痛みを鎮痛剤でコントロールし、日常生活は家族の支えが必要でしたが、認知機能は全般に低下しつつも、いわゆる認知症というレベルには達していない状態でした。

ところがある日、反応が鈍くなり、会話もまともにできないぐらい混乱して、子供っぽい奇異な行動が見られるようになりました。
家族の方は、肝臓の病気に加えて、認知症も発症したと考えられ、その心労は大変なものでした。
ところが、数日すると、あるいは短い時には次の日には、いつものレベルに戻られていて......といったことが数回続きました。

認知症は通常徐々に進む病気なので、ある日突然、重度の認知症のような症状が発現することはまずありません。
また、若干の症状の波はあるものの、Aさんのような大きな波、それも正常程度に戻るような波はまず、ありません。

内科的要因が作り出す認知症のような症状

原因を探るべく、色々お話を伺って、思い当たった原因は「便秘」でした。
Aさんはほとんど家の中で過ごされていたため、運動不足で、慢性的な便秘に悩まされていました。

肝臓は、体の中の血液を浄化する働きを担っています。
Aさんの肝臓はその機能が病気の影響で低下しており、その結果、便秘になると血液中のアンモニア濃度が増えて、それが脳に至った時に認知症の様な症状を発現させている可能性が考えられました。

このような症状は、一般的にお医者様では「肝性脳症」という診断名がつきます。

かかりつけのお医者様に便秘をご相談されて、便秘薬を処方された結果、便秘が緩和されて、極端な認知症様の症状はほとんど見られなくなりました。
そして、その後は、ご家族との会話にも問題は見られず、余生を過ごされました。

このように認知症のような脳の病気に見えても、実は、内科的病気の二次障害として発現する場合があります。

今日は認知症のような症状を取り上げましたが、その他にも内科的病気の二次障害として見られる精神的症状には鬱状態や人格変化などがあります。
このような場合はお医者様による認知症との鑑別が重要となります。

今日の記事から内科的病気が、脳に影響を及ぼして機能障害を含む精神症状を生じさせることがある、ということを少し覚えておいていただければうれしいです。
また機会を見て、また別の視点から記事に掘り起こしていきたいと思います。

今日の記事がどなたかのご参考になれば幸いです。

*今日の記事はAさんのご家族からのご了解とご協力を得てまとめさせていただきました。
  こころより感謝申し上げます。ありがとうございました。
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