コラム

 公開日: 2015-07-15 

老化と認知症の共通性・・・・・脳の委縮

老化を「脳」で見てみると・・・・

老化とは脳で何が起こっているのでしょうか。
今日は認知症の方の脳を例に挙げて老化を説明していきたいと思います。

認知症、あるいは老化による認知機能の低下がどのようにして起こるのか、いろいろな説明が可能ですが、今日は目で見て確かめらて、わかりやすい脳の形の変化に焦点を当ててまとめていきます。

認知症や老化で病院で説明を受けられる際に見せられるデータは、神経心理検査の結果と脳画像だと思います。

神経心理検査の結果は、この値が低い、高いといった説明があると思いますが、だから何がどうなのかまでの説明は、なかなか難しいのが現状です。

この点、脳画像は比較的わかりやすい。

下の2つの図は、脳を真ん中あたりで縦切りした断面図です。



上は健常な方の脳、下はアルツハイマー型認知症の高齢者の方の脳です。

上の脳に比較して下の脳は明らかに縮んでいるのがわかります。

脳の委縮と認知機能の低下

下の脳の萎縮はかなり進んだ状態で、表面の萎縮(B2)だけでなく、内部の萎縮も進んでいるので、空洞が大きく広がっています(D2)。(実際は空ではないですが、便宜上、空洞と表現させていただきます。)

脳は部分部分で機能を持っていますが、これだけ全体に進むと、機能も全般に落ちます。
とくに上の健常者の方の脳でみられるA1の部分は海馬と呼ばれる記憶機能を司る部分ですが、下の脳の同じ部分(A2)ではほとんど縮んでしまっており、著しい記憶障害があったものと推測されます。
また、下の脳はアルツハイマー型の認知症のかたなので、C2も嗅内野とよばれる記憶機能を司る部分ですが、この部分が全般に委縮しているのがわかります。

老化と脳の委縮

老化でも認知症同様に脳の全般的な萎縮が起こります。

その結果、物忘れや注意力の低下が起こるわけですが、それが一定水準以下になると認知症となります。
どの程度萎縮すればどの程度の認知機能が落ちるかは、人それぞれで異なり、萎縮と認知機能の低下について一定の水準があるわけではありません。

しかし、萎縮という変化が起こることことには共通性があり、結果的に記憶能力や注意能力の低下、人格の変化などの共通した問題が起こると考えられます。

老化によって委縮は見られても・・・

では、歳とともに委縮してしまうから、歳をとればとるほど、認知機能は低下するのかというと、答えはイエスです。
しかし、これがすなわち、日常生活に支障をきたすほどの問題を生じさせるかというと必ずしもそうとは限りません。

下の脳は83歳の男性の脳のMR画像です。
全般に委縮はあって、溝の幅が大きく、隙間があいているのがわかります。



実際、認知機能は加齢に則して落ちているものの、知能はこの年齢に換算すると正常です。
日常生活も自立していて、相応の目配りは必要なものの、大きな問題はありません。
切り取っている角度が上の図と少し異なるのですが、嗅内野と海馬は大きな委縮はなく、記憶も忘れっぽくはあるものの
正常の範囲でした。
「認知症」でないのはこの記憶の部分に異常な委縮がないためと思われます。

長くなりましたので、また記事をあらためて、別の機会にこの方の事例をまとめてみたいと思います。

今日の記事がどなたかのご参考になれば幸いです。

*本記事の事例の脳画像はクライエント様の御了承を得ました。
ありがとうございました。
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脳画像出典
WIKIMERIA COMMONS File: Alzheimer's desease brain preclinical.jpg
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Alzheimer%27s_disease_brain_preclinical.jpg

WIKIMERIA COMMONS File: Alzheimer's desease brain severe.jpg
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Alzheimer%27s_disease_brain_severe.jpg

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