コラム

 公開日: 2015-12-29  最終更新日: 2016-09-01

事業再生を目的とした代位弁済・10の心得

代位弁済10の心得
前回のお話しの中で、代位弁済には事業再生を目的した代位弁済があることお伝えしました。

こういった代位弁済が行われると、以後、金融機関との話し合いの場が多く持たれます。

その話し合いを行う上で、事業者として、知っておいた方が良いことについて、今日はお話ししたいと思います。

まず、この話し合いの目的は「事業を再生させる」ということで金融機関、事業者の方もお互い一致してはいるのですが、内心は再生までの過程において、お互い最小限のリスクと少しでも有利に話しを進めたい思いがあるものです。

しかし、お分りだと思いますが、話し合いの場ではどうしても金融機関が主導権を握って話しは進んでしまいます。

例えば、担保となる新たな不動産提供、そして保証人の追加など、多くの保全措置の要求がそれになります。
事業者はそれら要求に対して呑めるものか、それとも呑めないものかを即座に判断し、決断をしていかなければなりません。
そのうえで、事業者の方へ下記に示す事項を知識の一部として知っておかれた方が良いかと思います。


           <事業再生を目的とした代位弁済・10の心得>

1.代位弁済後の債務に対して損害金が発生する

前日もお話ししましたが、この損害金(遅延損害金とも言います)は当初の金利が採用されるのではなく、14%はたまた20%といった非常に高い金利に跳ね上がります。
代位弁済される金額が高額で、返済猶予期間が長くなればなるほど、損害金は膨れ上がります。
ですので、返済猶予期間が何年必要なのか、その年数でいくらの損害金が発生するのかを確認することが必要です。

2.金融機関はいつでも担保にとっている不動産を競売にかけることができる

代位弁済後の債権はリスク債権と言い、不良債権となる一歩手前の段階です。
金融機関もいつ何時回収不能に陥るかわからないリスクを背負っているため、事業再生途中であっても金融機関サイドに方針転換などがあれば、事業者の意向に沿うことなく競売にかけられることがあるということも認識しておいてください。

3.他金融機関からの借り入れが困難になる

金融機関への返済額が減っても新規の融資やクレジット、リースがどうしても厳しくなってしまいます。

4.あらたな保証人や担保提供を求められることがある

これは注意が必要です。
特に保証人を社長以外の者におくことは避けた方が良いでしょう。
お分りかと思いますが、保証人は新たな被害者を増やし、個人としての再生にも影響を及ぼします。
事業計画が本当に現実的なものか、単なる延命措置になっていないかを考え決断してください。

5.保証人への請求

代位弁済後、毎月返済をしているからといって保証人へ取り立てがないとは限りません。
金融機関はいつでも保証人に対して請求できる権利をもっています。
もし保証人に不動産や預金などの財産があれば差し押さえされることもあるのです。
ですので、金融機関との話し合いの場では、分割返済している間は保証人へに取り立てや財産の差し押さえをしないよう合意をとっておくことが必要になります。

6.他の金融機関から差し押さえ、競売の申し立てがなされることがある

代位弁済されたことが他の金融機関に知られてしまうと、財産の差し押さえや、競売の申し立てがなされることがあります。
金融機関と締結する金銭諸費貸借契約書には、銀行取引上の債務について「期限の利益を喪失(=代位弁済)したとき、一括弁済請求を行うことができる」記載されています。
それによって、不動産に差し押さえが入ったり、最悪、競売の申し立てがなされる場合もあるということも知っておいてください。

7.税金納付は優先的に

事業再生に成功し、銀行から新たな融資を受けようとしたとき、税金の滞納があると融資を受けることができなくなります。
また、事業再生に失敗し会社を倒産させなければならなくなったとき、会社の税金であっても、その支払いが出来なければ、代表者である社長が支払い義務者となってしまいます。
事業上の税金は個人の税金と違い数百万円、ときには数千万円もの滞納額になることが多いため、個人としての再生にも影響を及ぼしてしまいます。
ですので、できる限り、税金については優先して支払ってください。
それでも支払うことができないのであれば、役所への対応は無視などせす、適度な対応をとっておくことが大切になります。

8.債務免除はない

債権が不良債権化してしまと、債務免除ということもあります。
しかし、事業再生を目的とした代位弁済後の債務は、まだ不良債権ではありません。
事業者が手を上げない限り債務免除は期待できないでしょう。
又、保証協会からの借り入れでは、会社の倒産など法的手続きをとらない限り、債務免除はありません。

9.収益性のない不動産については売却する覚悟が必要

事業の再生に必要な不動産、いわゆる収益性のある不動産については金融機関の回収にも影響があるため、話し合いのテーブルにのるでしょう。
しかし、収益性のない不動産、例えば社長や保証人の自宅などです。
贅沢なものだと金融機関に判断されると任意売却を提案されることが多くあります。

10.債権譲渡されることがある

保証協会の借り入れの場合は債権譲渡はありませんが、それ以外の金融機関でれば債権譲渡も可能性としてあるでしょう。債権譲渡は債務者(事業者)への承諾・同意は必要なく通知だけで事足ります。
債権譲渡されると、これまで事業再生に向けた話しが白紙撤回されるリスクが生じます。
債権譲渡先の金融機関が事業再生に後ろ向きな考えであれば、担保不動産を競売にしてしまうこともあるのです。



以上が、事業者の方に知っておかれた方が良い知識になります。
くれぐれも、無理な事業計画を提案することで、必要以上に銀行の条件を呑んでしまわないようにしてください。

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