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日本の「履物」とヨーロッパの「靴」が融合した、独自のジャンルを追求(1/3)

野嶋孝介 のじま こうすけ

日本の伝統を大切にした靴・履物作り

 京都・西陣の地に、「斬新」とも表現できる靴や履物を製作する工房があります。その名は、「吉靴房(きっかぼう)」。店主の野嶋孝介さんは、「着物のシルエットは、普段着であるデニムのシルエットに似ている。双方に似合う靴は、意外に近いのではないか」といった仮説に基づいた靴や履物作りに取り組んでいます。和服と洋服を意識し、日本文化の「履物」とヨーロッパから伝わった「靴」とが融合された、いわば「靴・履物の新ジャンル」を提供しています。

 素材は牛革を主に使用し、中でもヌメ革を多用。野嶋さんが「すっぴん肌」と例えるヌメ革は、使い込み度合いが増せば増すほどその表情に深い味わいが出るのだとか。そして、靴や履物を製作する際には、この伝統的な素材を一切無駄にせずに使いきります。これは「着物作りに反物を余すところなく生かす」といったことにも表れているように、昔の日本では当然だった製作手法。この手法を実践している野嶋さんの靴や履物には、どこかエレガントさが漂い、美しい所作が伴います。履けば、「ひんやりとした畳に素足が触れたときの感覚」を思い出させるそう。しかし、「靴や履物は履き心地が良くて当たり前」と言ってのけるあたりに、高いプロ意識を感じずにはいられませんでした。

 取り扱うのはビジネスシューズ、レザースニーカー、ブーツ、下駄、草履とバラエティー豊富。デザインは飽きのこない「定番」を意識し、すべてオーダーメイドで足の採寸から約3ヵ月かけて丹精込めて製作します。今ではファッションに敏感な若者から外反母趾(ぼし)などの足にトラブルに悩む高齢者まで、幅広い年代の客層に支持されているそうです。

 「“かっこいいから”と見た目の印象でお選びいただくお客さまも多いですが、私としてはそれで十分です。コンセプトを押し付けるのは、作り手のエゴにすぎませんから。吉靴房の靴や履物を、今お持ちの靴の中の一つに選んでいただければ光栄です(笑)」。「自ら強く勧めることはせずとも、信念を内に秘めてモノ作りに勤しむ」。この姿勢には職人の雰囲気が醸(かも)し出されていました。

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【次ページ】 伝統ある日本文化を靴・履物作りに生かす

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京都新聞社 認定プロ

店名 : 吉靴房
住所 : 京都府京都市上京区大宮通寺之内下ル花開院町111-2 [地図]
電話 : 075-414-0121
営業時間 : 月曜・金曜 10:00~16:00 
土曜・日曜 14:00~17:00
定休日 : 火曜・水曜・木曜 ※製作日です。

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