コラム

 公開日: 2011-05-01 

財団法人や社団法人が簡単に作れるようになりました。

最近社団法人や財団法人について勉強しています。今まで公益法人として税制の優遇を受けていた社団や財団の姿が大きく変わろうとしています。

 なぜ、公益法人が変わる必要があったのか、その背景を探ってみました。

Q1なぜ、公益法人改革が行われたのですか。また、なぜ一般社団法人や一般財団法人という公益認定を受けない法人を認めることになったのですか?

1,公益法人改革の理由

 現在の日本には約26,000社の公益法人が存在しているといわれています。
こういった公益法人の中には税制優遇の恩恵を受けているにも関わらず、その情報公開が不十分であり、社会の信頼を得られないものや、普通では考えられないような乱脈経理を行い新聞紙上を賑わせたものもあります。

 さらに、従来の制度は公益性と非営利性が要件となっていたため、公益性を失えば法律上解散する必要があるのですが、主務官庁による不明瞭な裁量による運用が行われているため、実際にはその事業実態に関わらず解散せずに存続している法人があるともいわれています。

 制度の抜本的改革が必要とされる理由はここにあるのですが、明治29年の制定以来100年間という長きにわたり不変だった制度、そして、その中で長きにわたり存在してきた法人は現実問題として潰したくても潰せない存在となっていたのです。

 今回の公益法人制度改革では、こういった法人についてその設立と公益認定を分離させることとなりました。つまり、現在の社団・財団を一般社団・一般財団および公益社団・公益財団という「一般」と「公益」の2種類の法人に分類し、従来通りの公益性をアピールしたい場合や税制上の優遇を受けるためには、有識者からなる合議制の委員会において公益認定を受けるという関門を作ることとしたのです。

 この公益認定を受けた法人については詳細な法律やガイドラインにより厳格な運用が行われること、かつ、それらに基づく事後の立会検査が義務づけられること、さらに、公益認定が取り消された場合には、その法人が持つ公益目的財産の全てを手放させることなどの措置が取られることとなりました。

 一方で、現存する公益法人のうち上記の公益認定を受けない法人や、新たに参入して来るであろう民間公益活動を行おうとする法人については、一般社団・一般財団が用意されました。この「一般」法人については、その設立について準則主義が採用され、法務局で登記を行いさえすれば、誰でも簡単に設立できる制度となりました。

2,一般社団・一般財団を認めた理由

 このように、「設立」と「公益認定」が分離されたことにより、今までには無かった新しい性質を持った法人が誕生することになりました。これらの法人については、法人財産に対する持分や、剰余金並びに残余財産の分配請求権を持つことが出来ない非営利の法人であるものの、公益性を必ずしも持つ必要は無く、営利目的の株式会社と同じように、その目的や活動になんら制限を受けることはありません。

 これについては公益法人制度改革に関する有識者会議の中で、一般財団法人が家産承継目的や債権者を害する目的などに不正利用されるとの指摘*1がされましたが、結果的に公序良俗に反しない限りその目的や事業に制限は設けず、設立者の意志に従った活動を制度的に尊重するとの法制化がされています。さらに、社団方式の一般法人については、そもそもその議論さえされず、人々の自由活発な活動を促進するという基本理念の下、行う事業については格別の制限をしない、と明確に述べられています。

 株式会社などの営利法人の基本法である商法や会社法についてはここ数年で大幅な見直しが行われ、最低資本金制度の撤廃や機関構成に対する規制も大幅に緩和され、設立しやすく、また、企業統治がしやすい仕組を作ることも可能となりました。

 今回の公益法人制度改革についても、今の社会においてますます重要になってきた民間の非営利部門をさらに育成・発展させるという目的の下、株式会社などと同じように設立しやすく、そしてその活動に制限を設けないという制度になったのだとも考えられます。 さらに、設立したばかりの非営利法人は公益認定が受けられるようになるまでの期間の受け皿として、また、旧公益法人で公益認定を受けなかった法人ついては、法人格そのものを消滅させないようにするための受け皿としても、一般社団・一般財団は作られることになったとも考えられます。

 なお、これまで非営利法人として存在していた中間法人は、この制度が法制化されることにより、一般社団法人に統合されることとなりました。


 この社団法人や財団法人の便利な使い方については、またご報告させていただきます。

この記事を書いたプロ

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税理士 村田裕人

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