コラム

2011-08-21

相続対策と相続税対策

 相続対策とネットを検索すれば、一番多く出てくる回答は税金対策つまり、節税重視型の対策です。これはもちろん大切な事で、けっして否定をするものではありません。確かに、相続税についてはその対策をするとしないのとでは、税額に相当な差が出てくるのも事実です。

 しかし、バブルの崩壊以降、現在に至るまで日本の各種税制は優遇策の拡大、税率の引き下げ、課税ベースの縮小と国民の税負担率はかなり引き下げられ、特に相続税については基礎控除額の拡大、税率構造の緩和等により、平成4年に22.2%あった租税負担割合が平成20年度には11.6%となり、税の世界だけを見るとその負担感はかなり減少しています。

http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/property/141.htm

 一方で、ここ数年実務上で大きな問題点だと感じるものが、相続人同士のいさかい。つまり「争族問題」です。実際に家庭裁判所に相談をが持ちかけられた遺産の分割に関する処分数は年々増加しており、昭和60年におよそ5千件だったものが、平成21年にはおよそ倍増し、1万1千件となり、また、家庭裁判所が受け付けた遺言書の検認についても昭和60年に3,300件あまりだったものが、平成21年には13,962となり、その関心の高まりが反映されたものとなっています。

http://www.courts.go.jp/sihotokei/nenpo/pdf/B21DKAJ02.pdf


 ここ数年の相続の業務を通じて感じる事は、「もめない相続を望まれる方が増えてきた」と言う事です。そのため、相続対策の重要性はつぎのように変わってきていると感じます。

1,いかに円満な相続をおこなうか・・・「争族対策」
2,いかに相続人全員の納税資金を確保するか・・・・「納税資金対策」
3,いかに支払う相続税を納得できるものにするか・・・「税金対策」

【1】争族対策

 争族防止のためには、遺言書を作成しておく事が、やはりとても効果的であると考えられます。遺言を残すと同時にその遺言の中に「なぜこのような分割を希望するのか」といった附言を書いておけばなおさら効果があります。
 さらに、具体的には被相続人が生前に遺産の分割しやすいように不動産の分筆や分割、または財産の換金をしておくことなども考えられます。

【2】納税資金対策

 納税資金対策の必要性は、相続税が現金納付が原則だと言うところにあります。相続財産に占める現預金の割合は平成21年度国税庁統計年報書から見ると総財産11兆8千億円のうち2兆5千億円、つまり総財産のうち預貯金は21.4%しかありません。そのため、一時に現金で納税することが出来るかどうかを考えておく事は非常に重要です。
 遺産分割により不動産を貰った。でも納税する資金がありません。という事になってしまったら、相続した不動産を売却する以外にないのです。相続人全員が幸せな相続を行うためには、相続人全員がきちんと納税できるのかどうかを考えていきましょう。

【3】税金対策

 最後に、相続税の税金対策は毎年相続税法をはじめとして、法改正や通達の改正などが行われますので、現在は効果的とされる対策も将来の改正によって、その効果が継続されるかどうかはわかりません。
 相続対策が節税重視型になるとどうしても評価額の圧縮、つまり、貸家を建てたり、借地権の設定を行ったりといったものが中心となり、財産の流動性を妨げるものとなりがちです。いざ相続が開始し、他の相続人から分割の要求があった場合に、分割したくても出来ないような状況に陥る事にもなりかねません。これからの相続は、争族対策や納税資金対策を中心に実行し、その結果として税金対策にも効果があったとするような取り組みを考えていく事が望ましい姿なのだと思います。

【今日のポイント】

 相続で最も大切なのは「いかに円満な遺産分割を行うか」です。税金だけに目をとらわれず、争族対策・納税資金対策をしっかりと行う事でトラブルを防ぎ、幸せな資産承継を行いましょう。

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