コラム

 公開日: 2015-03-16  最終更新日: 2016-11-30

交通事故裁判(訴訟)の流れ~だいたいのスケジュール~

交通事故の被害者の方からの相談では,

「裁判(正確に言うと,「訴訟」)になった場合,どの程度時間がかかりますか」

という質問をよくいただきます。

もちろん,各個別の相談者の方には,相談時にお聞きした事案の内容に応じ,だいたいの目途を回答させていただきますが,一般的な上記質問に対する回答は、「事案(争いになっている問題)による」としか言いようがありません。

上記一般的な質問に対し,大ざっぱに回答するとすれば、「訴状の提起から数えて、半年程度から最長2年程度」となるでしょうが、次の要素等により変わってきます。

・「物損(修理費などの物の損害)か人身(怪我等の損害)か」
・「和解で終了するか,判決まで行くのか」
・「判決まで行った場合,一審で終わる(確定する)のか,控訴審(下手をすると上訴審まで)かかるのか」

それぞれ後者のほうが,長くかかることになります。

もっと具体的に,人身の請求につき,想定される期間の目途を示すと以下のとおりです(あくまで目安ですので,相手方の対応により、変わるのは言うまでもありません)。

1 事実(後遺障害の有無や程度,事故の態様等)は、ほとんど争点はないけれども、主に慰謝料などの基準をあげるために訴訟をする場合

  双方当事者の主張が終わった段階で、裁判所から、和解案が出て和解で終了するとすれば、半年程度
  当事者の尋問が必要な場合は,さらに,2~3カ月程度
  そして,判決まで行く場合は,そこから2~3カ月程度

  この場合は,事実に争いがないので,尋問まで行く可能性は後者に比べて低いことになります。

  よって,期間は短くて済むケースが多いです。

2 事実に争いがあるケース

  特に,後遺障害の有無や程度,または治療経過につき,争いがあるケースは,医療記録の取り寄せを行うことが多いです。
  となると,その取り寄せに最低でも2カ月程度かかります。

  さらに,その医療記録の翻訳(最近は日本語のカルテも多いですが,昔はすべて難解な医学用語(英語が主)でしたので,必ず,翻訳が必要でした),ひどい時は,その医療記録に基づき,加害者側の保険会社が依頼した医師の意見書(だいたいは,被害者が主張する後遺障害や治療経過を否定するものです)が用意されますが,その準備には,3カ月以上かかることがあります。

 とすれば,当然,上記期間にさらに半年程度追加する必要があることになります。

 また,過失に争いがあれば,当事者の尋問も行われる可能性が高まります。

 となれば,一審の判決まで,最低でも1年,通常は1年半近くかかると考えたほうがよさそうです。

3 控訴になった場合の必要期間

  一審で和解が成立せず,判決となった場合,その判決にお互いに納得すれば,その判決は確定します。
  
  しかし,どちらかが不満を持ち,控訴審で争うことになると,さらに時間がかかります。

  その時間ですが,一審の判決から,控訴審の開始までに3~4カ月,そこから,審理をして,判決や和解に行くまでに,さらに,2~3カ月程度は最低かかることになります。

4 最高裁まで行くケース

  控訴審でも和解が成立せず,判決となった場合,一審の判決時と同様,どちらかに不満があれば,最高裁に対し,上訴することも可能は可能です。

  ただ,特に交通事故の事案の場合,最高裁で実質的な審理がされることはほとんどないと言ってもよいと思います。

  よくあるのは,書面だけ最高裁に行き,書面の審査だけで,「最高裁では審理しない」という通知だけが来るというケースです。

  この場合の期間は,3~4カ月程度でしょうか。

以上が,ケースごとの,訴訟に要する期間の目安です。


皆さん,「長い」と思われましたか,または,「意外と短い」でしたでしょうか。

ただ,ご安心ください。

上記の裁判の期間の間で,裁判所に実際に行くのは,弁護士のみであることがほとんどです。

当事者の方に裁判所に行っていただくのは,当事者が直接,裁判所に対し話をする「尋問」の期日くらいですので,1回だけがほとんどです(逆に言うと,当事者に対する尋問が実施されないケースでは,当事者が一度も裁判所に行かないケースもあります)。

これも皆さんにとっては,「意外」でしょうか。

また,「1回しか行かなくて良かった」でしょうか。
または,「もっと裁判所に直接,被害を訴えたい」でしょうか。

人それぞれの感じ方,思いは違いますので,その違いに十分に配慮した弁護士としての活動ができればとは,いつも考えています。

できているかどうかは,人それぞれの感じ方,つまり,他人の判断となりますので,ここで明言はできませんが。

こちらとして,できる限りの努力をするのみです。

この記事を書いたプロ

丹波橋法律事務所 [ホームページ]

弁護士 笠中晴司

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