コラム

2016-04-05

症状固定とは(3)

今回は,損害賠償につき,症状固定がどのように基準点となっているのかにつき,
具体的な事例で説明していきます。

1 設定事例
    事故日    平成28年1月1日
    症状固定日  平成28年10月1日
    症状固定までの入院日数 1か月 退院後の通院回数 60回
    後遺障害等級 12級

2 上記事例での損害

(1)症状固定日までに発生した損害

   症状固定日までに発生する損害の主なものは次のとおりです。

   ア. 治療費
       前記事例だと,症状固定日までの入院および通院にかかった費用実費
       ただし,入院の際の差額ベッド代等相当性がないとして,認定されないケースはあり。

   イ. 入院雑費
       入院する場合,いろいろな日用品を購入する必要があるかと思います。
       その費用を1日いくら(訴訟基準ですと,1日1500円)と概算して請求することができます。

   ウ. 入・通院慰謝料
       症状固定までの入院や通院の苦労,さらに,傷の痛みに対する精神的苦痛を
       慰謝するものとして,慰謝料が認められます。
       上記事例だと,訴訟になると,170万円程度の慰謝料が認めらるケースが多いです。

   エ. 休業損害
       入院・通院のため,あるいは,怪我のため,仕事ができなくなった部分の
       休業損害につき,補償が受けられます。
       休業損害の算出には,その基礎となる収入と休業が必要だった期間と
       その程度が問題になりますので,収入などにより,その金額は,大きく異なってきます。
  
  その他,通院などに要した交通費,付添看護が必要だった場合の費用等が認められる
  ケースもあります。

(2)「症状固定」した後に発生する損害
  
   「症状固定」した後の損害とは,「後遺障害」があることにより,
   その後の生活や仕事の上でも不利益が残ることが予想される場合,その程度に応じて,
    発生する不利益を損害と認定して,賠償することです。

   ですので,いくら自身が「事故による後遺症がある」と考えていても,「後遺障害」の基準
   に満たない場合は,「後遺障害」があることを前提とした,損害賠償は受けられません。

   また,認定される等級により,その損害賠償の金額は大きく変わってきます。

   ですので,交通事故の人身の損害賠償請求で,最も大きな問題となりやすいのは,
   「後遺障害の有無」と「その等級」と言ってもよいでしょう。

   たとえば,「後遺障害」がない場合はゼロとなるものが,14級と認定されただけで,
   慰謝料だけで,訴訟では100万円以上損害が認められるのですから(これが12級なら
    280万円程度となります),その違いが大きいことは,すぐにご理解いただけると思います。

   さらに,逸失利益も加えれば,その影響は,さらに大きくなります。

以下,簡単に説明します。

ア. 後遺障害の慰謝料
     症状固定した後に,「後遺障害」が残るということは,その後,
     痛みや不自由さを背負った状態で生活していかないといけないということです。
     その痛みや不自由さに対し,慰謝料が認められます。

     設定事例の12級だと,裁判では,280万円程度の慰謝料が認められることが多いです。

イ. 逸失利益
     「後遺障害」があると,健康な時(事故の前)に比べて,100%の状態では働くことはできません。
     ということで,その状態が,健康時(事故の前)に比して,「何%の状態」であるかということを考え,
     その減額された部分を,「本来得られるべきであった利益」が「得られなくなった部分」,つまり,
     「逸失利益」として,補償されます。

     この「何%」を決めるのが,原則として後遺障害の等級で,1~3級が「0%」
     (=働くことができない状態)とされ,100%の逸失利益が認められます。
     以下,4級で92%,5級で79%,(中略),12級で14%,13級で9%,14級で5%
     の逸失利益が認められるのが,原則です。

     また,何年分の逸失利益を認めるのかも訴訟では争いとなりますが,最大で67歳まで
     (高齢になってくると,平均余命の半分までの期間)の期間の逸失利益が認められること
     があります。

     ただ,あくまで,事案に即しての判断となりますので,喪失率についても喪失期間についても,
     上のような算定とならないケースもあります。

ウ その他,1~3級等の重い症状では,将来の介護費や家を改造しないといけなくなった場合
  の費用等が認められる場合もあります。
  ただ,それ以外のそこまで重くない症状の場合は,原則として,症状固定後の治療費などは
  認められません。

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