コラム

2012-08-06

アートとデザインの境目は

よく議論されるテーマです。

一般的にいわれるのは、
デザイン「クライアントがいて基本的に受注制作、クライアントの思いを具現化することが原則。背景にはビジネスが存在し、簡単に言えば売れてなんぼ。」
アート「あくまでも自己表現。人がどう思おうと自分の感受性を信じて思いのまま制作する。それに共感してくれる人だけが受け入れてくれればいい。自分の思いを表現する。」
と、いう感じでしょうか。

でもはたしてそうでしょうか・・・・。

デザインだって「その人の仕事を評価して、お金を払ってでもその人の思うようにデザインして欲しいと思った。」とか、「自分の作品を有名にしたり、売れたりしたいので画商やパトロンが好む絵や彫刻をつくった。」というように、先述のことと反することはいくらでもあります。

ビジネス上、クライアントの思うようにばかりデザインをするというのは、はたしてデザイナーとしての到達点でしょうか。
いつまでも、自分の思うものばかりを追い続けて、いつ売れるかもわからない作品ばかりをつくるのはアーティストといえるのでしょうか。

デザイナーでも自分の思うことを表現するということは非常に大切です。
それをしないとデザイナーなんて誰に頼んでも同じだなどといわれ、価格や納期の勝負になったり、クライアント側の必要以上のわがままにつきあったり、理不尽なコンペばかりを強いられるのです。
アートだって同じこと。
人が受け入れてくれるものはどんなものだろう・・・と、考えることが自分の作品をさらに磨き、完成度の高いものへと変化させてくれるのです。そうすることで人々がさらに注目してくれるようになり、もっと自分の思いを伝えられるようになるのです。

ただ、デザインにしてもアートにしても、到達点として確実にいえることがあります。
それは人に認められる仕事をすること。「人に認められてお金をもらう。」これが共通の到達点だと思います。
人に認めてもらえなかったり、お金をもらえないのは「ただの趣味」であり、デザイナーにしてもアーティストにしてもプロとはいえないのです。

では最初の議論であるデザインとアートの境目は・・・・。

私はそんなものは存在しないと思っています。

なぜなら、「相手の思いも感じつつ、自己を主張したり、表現したりするデザイン、そしてそれにお金を払ってでもデザインして欲しいと思わせる仕事」がデザイナーの理想であり、「人々がお金を払ってでも買いたくなるような作品、その作品の主張をたくさんの人が受け入れ、お金を払ってくれる作品をうみだす。」のがアーティストの理想だと思うからです。

その考え方ではデザインとアートはますます境目が曖昧に成り、よくわからなくなってしまいますが、私はそれでいいのではないかと思っています。
ここまでがデザインで、ここからがアート、などといっているうちは、本当の意味での両方の醍醐味をまだ味わっていないのです。

とにかく自分の考えを認めてもらって、お金ももらう・・・・・。それを周りがデザインと呼ぼうがアートと呼ぼうが、そんなことはどうでもいいのです。
自分がアートだと思えばアートだし、デザインだと思えばデザインでいいのです。

かなり乱暴な意見で賛否両論あるかと思いますが、この仕事を30年もやっているとこんな風にすれた考え方になるのかもしれませんね。

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