コラム

 公開日: 2014-04-09 

未熟者は誰だ?

連日、記事を読んでの感想なのですが、
今回は、科学ニュースという大本営発表という記事を見ました。
ちょうどSTAP細胞問題がニュースになっていますが、この問題について
一つの原因を作っているのは、メディアの能力の低さだと思います。

この記事の筆者は、このようなメディアの発表を大本営発表と
皮肉をこめて呼んでいます。

  それにしても、どうしてこんな大本営発表をしなければならないのだろうか。
  科学者にとっては、新聞にとりあげてもらうことで地位・研究費の獲得で
  優位になるためであり、研究機関(大学)にとっては、省庁からの予算を
  引き上げるための材料であり、文科省・政府にとっては、国民から
  絞り上げている税金が日本の進歩・利益のために効率よく使われているという宣伝だ。
  このどれもが科学的真実とは無縁で、だから大本営発表なのだ。

ということです。
結果だけを求めすぎると、地位、金銭といった本来、
研究とは別の結果を求めすぎてしまうという皮肉。
本末転倒と言えばそうなるかもしれません。
確か、30歳の研究者は未熟といった発言もあったかと思いますが、
教育をする側、指導者側が、どういった研究者を作りたいのかが、
明確でないのにも関わらず、ただ、未熟とだけ断じるのはあまりに酷です。

「結果だけ早く早く!!」と研究者が求められた場合、それも所属先からだけではなく、
メディアや、その報道を見た人からも求められた場合、研究が果たしてうまくいくと
誰が考えているのでしょうか?企業の営業のように月々の数字を求められる職種と
研究者では仕事の主旨が異なるはずです。研究費を取らねばならないのは、
ある程度理解できますが、研究者個人がそんな仕事をするのではなく、
科研費をとるための専門家を作る必要もあるのではないかと思います。
山中伸弥先生は、研究ノートをチェックする仕事をする人が必要だとおっしゃいましたが、
そういった専門家の養成も必要です。
予算がないという声も聞こえてきそうですが、ひたすら工事工事工事と、
常に新しい校舎を建てたり、新しい場所に土地を買い、拡大路線を取っている
大学はたくさんあります。人を作る予算くらいは十分にありそうです。

研究者の就職問題は、あまりにも残酷な状況ですが、
うまく職につけたとしても、こんな調子で結果ばかり求められ、失敗すると
あたかも犯罪者であるかのように、何の知識もないメディアから叩かれ、
かつ所属先からも尻尾切りをされ、最後に残った言葉が「未熟者」。
STAP細胞の研究者の方々が、研究に専念できる環境を与えようとした人は
果たして存在したのでしょうか?メディア対策のために余計な仕事まで
させようとはしなかったでしょうか?
研究所で研究に専念できる環境を提供できないのであるならば
それは未熟な研究所です。これだけ情報があふれかえっている時代に
一人の人間に何でも押しつける方が未熟の現れなのではないでしょうか?
すべては資金難から来るのかもしれませんが、研究所に経済活動の
専門チームくらい設置しておいても良いと思います。
一般に研究者は、専門外の経済的活動については「未熟者」の方が
多いのではないでしょうか?
この記事の筆者は最後に
  これに関連してマスコミ各社にぜひお願いしたいのは、
  科学記事の質の向上のために、経験のある研究者(ポスドク)を
  積極的に雇用することを考慮してほしい。
  彼らは日本の埋もれた財産のひとつだ。

と提言しておられます。
大変重要な提言です。いつも言っていますが、私はもっと大学院に進む人を
作るべきだというのが持論の一つです。これからの時代、ポスドクのような
専門能力を持った人がジャーナリズムを行っていく必要がありますし、
指導者側も、研究者だけを作るのではなく、こういった方面の専門家を
作ることをイメージして教育をすれば、大学院生は、貴重な資源に
なり得るはずです。大学院にも様々なコースを設ければ、専門ジャーナリストを
大学院が養成する時代はすぐに来ると思います。
日本はまだまだその点においては未熟なのかもしれません。
一人の若者を未熟者と断じるよりも、他に多々ある未熟な点を
正していくことが、これからの重要な仕事になるはずです。


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