コラム

 公開日: 2015-05-24 

どうすることもできない

少し前の話なのですが、由あって、遺言書について頼まれたことを調べていました。
公正証書に書かれた遺言書の内容が嘘ばかりで、あまりにもひどい誹謗中傷
ばかりの内容であったことが他人事とは思えず、気になったこともありました。

信じがたいことですが、世には堂々と嘘をつきながら、その対象者を嘘つき
呼ばわりする人間が確かにいます。そして、証拠も出さず、証拠を出せと
言われても、すぐに論点をずらして、自分の言いたいこと(もちろん嘘)だけをまくしたて、
さらなる誹謗中傷を重ねる輩です。
私の人生でも数人います。今相手にしている人間はその中でもさらに特別製ですが。

こういった時、世の中では「言ったもの勝ち」のようです。
必ずしも「言われたもの負け」とまでは言いませんが、言われた方は、基本的に
「どうすることもできない」ようです。

今回、公証人にも問い合わせ(てもらっ)たのですが、こういった方々は
裁判官を経験しておられることが大半ですので、事情をよく知っておられます。
それでも「どうしようもないとは言いませんが・・・」とそれ以上、言えない様子でした。

数日かけて、様々問い合わせてみて、私なりの結論を出してみました。
言い方も私なりなので、専門家が見ると、必ず語弊があると思います。
ただ、現実を反映してみたつもりです。

①遺言書というのは、遺言者の気分や気持ちを書くので、嘘を書いても構わない。
また、公証人はその内容に責を負わない。
②公正証書の遺言の場合、「証人」2人(だったと思う)が必要であるが、この証人は、
遺言者の発言が事実であるかを保証するのではなく、遺言者が「これこれこう言いました。
公証人がそれを聞き、記述しました。確かに私もそう聞きました」という証人である。
故に証人も公正証書の内容に責任を持たない。(印鑑までつくのに・・)
③遺言書は、遺言者の死後公開される(当然といえば当然)。
ただし、これは利害関係者のみに公開されるのであって、「一般」公開されるわけではない。
世間に内容が知られる場合、それは、遺言を受けた人が、公開したものである。
故に遺言者に公開に関する責ない。すなわち、遺言者による名誉毀損は成立しない(しにくい)。
④遺言書の内容において、何らかの被害を受けた(と感じる)人がいた場合、
そもそも名誉毀損になるかどうかも微妙だし、ほぼならない。侮辱行為としては成立しても
基本的に遺言者は死亡しているため、争う相手がいない。

やはり「どうすることもできない」としか言いようがありません。
どうやら、被害者からすれば、人生最後の嫌がらせになり得るもののようです。

しかし、それにしても、公証役場というところで、最低3人の見知らぬ他人に、
その誹謗中傷を言われて、それを元裁判官という重職者に文章にされ、しかも、
「内容は正確である。間違いありません」
と証人が印鑑をつくような文書に、嘘の誹謗中傷が記録されるわけです。
嘘を書かれた方の気持ちは全て無視です。公証人も、証人二人も、被害者のことを
知らなくても良いわけですから。何とも理不尽な話です。堂々と嘘を書いても良いのです。
嘘をつくクセのある人には最高の文書です。
「遺言書とはそういうものだ」
この一言で全てが帰着するのは、被害者にとってあまりにも乱暴な話です。
「書かれる方にも問題があるということですか?」
とあえて聞いてみました。もちろん、予想通り
「そうではありません」
と返ってきましたが、結局、「どうすることもできない」で納得せよということのようです。

だったらせめて、公正証書にする際には、公証人は、内容くらいは吟味すべきではないか
というのが私の意見です。公正証書に適切も不適切も本来はないのでしょうが、
一般人の感覚からすると、公正証書というのは重いものです。

一定の法的拘束力を持つ文書である以上、嘘の人格を書かれた方は、
半永久的にそれが残ってしまうわけです。

この点を、公証人に伝えてみたところ、一定の理解は示してはくれるのですが、
あくまで「遺言書は個人的なものである」という見解であり、公的に半永久的に残る
というのは当たらないということのようです。
では、書かれた方は言われっぱなしですか、と問うと、
「うーん・・・・まぁそうとうも言えますね、というより、そうならざるを得ないですね」
という回答でした。

正直なところ、遺言書について無知であったことを恥じる半面、
この国の法的拘束力のある文書に、
「根拠のない嘘で、他人を誹謗中傷しても、被害者はどうすることもできない文書」
が存在していることはあまりにも意外でした。研究を生業とする人間の端くれとして
嘘を根拠もなく書くということに、強烈な抵抗感を持っています。
法律家は、人間は嘘をつくということを前提にしていると、私が長年お世話になっている
弁護士の先生は言います。このあたりが、「どうすることもできない」の解釈の違いに
反映するのかもしれません。

この公正証書を破棄させることは全く不可能ではないらしいのですが、とんでもない
時間と費用がかかるようです。つまり、結局は言われっぱなしということになります。
同じことを何度も書きますが、
「どうすることものできない」のです。

考えてみれば、仏教でも「戒律」という法律集があり、私はこれを専門分野としています。
インド語ではヴィナヤと言い、拘束することです。つまり、自分たちを拘束するための
ルールブックであり、誰かを守るためのものではないです。故にその条文には、
仏教の僧侶を守る法律などありません。悪い人間が出て、それを追放するのが
最高刑ですが、被害を受けた人のケアや、被害を受けないようにする予防措置
についてはまず記載されていません。法律とは「そういうもの」なのかもしれません。
とはいえ、仏教の法律は、仏教コミュニティという限られた社会の中で適用される
ものであって、国の法律とは必ずしも同じではありません。
この国だけではないのかもしれませんが、被害者というのは、本当に守られず、
法律が絡むと、二重、三重にさらに傷つけられるということが身にしみてわかりました。
犯罪被害者にもっと思いを向ける社会になればいいのにと心底思いました。


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