コラム

 公開日: 2015-10-10 

小論文が書けるようになるにはどうすればいいですか?

看護系を受験する人には小論文は必須と言っても過言ではありません。今年もここまでのところ、かなりの数を添削してきました。私の考えとしては、小論文は単なる添削をするのではなく、完成とこちらが言えるまで育てていく事が重要です。データを集めてきて、差し込んだり、過去の研究を見たりすることは基本的な作業ですので、小論文とはいえ、それなりに本格的に作業を進めていく必要があります。小論文が書けないと言う(思う)人は結構たくさんいます。書けないパターンはいくつもありますので、実は小論文指導というのは、授業で漠然と、一般論だけを説明し、あとは「添削」して、「書けていない」ことだけを指摘するというのは、指導者としては不適切です。書けない人は、「意見を述べなさい」と言われると、「何を言えば良いかわからない」という連鎖が生じ、これに拘束される傾向が強いと言えます。

それでは自分の意見とは何でしょうか。とりあえず思いつくことでは決してありません。意見とはすなわち自分の中に根付いている考え方から導き出されるもので、同じ意見を言っているように見えても考え方が根本的に違う場合もありますので、他人に示すべきは、その考え方になります。REBTでもそうですが、考え方というのは、人の構成要素として重要です。考え方が見えれば、その人の人生観も見えますし、何を拠り所としているかも見えます。この考え方の拠り所を構築することは、今後の人生にとっても非常に重要なことですので、明確でないならば、早いうちに自分なりの考え方の拠り所と、思考順路を作っておくと非常に効果的です。例えば、医学系小論文でよく問われる「臓器移植問題」がありますが、これも臓器移植賛成か反対の立場よりも、なぜ賛成(反対)であるか、その根拠となる考え方を示すことが優先されます。極論言うと、賛成か反対かは大した問題ではありません。なぜなら賛成か反対かは、ある日突然裏返ることがあるからです。典型的なのが原子力発電です。福島の大災害以降、それまで原発推進派だった人が、反対に転じた例はたくさんあります。それは賛成か反対かが問題なのではなく、その人の考え方に沿うか抵触するかによって決まることになります。意見を決める自分の考え方を公に出せるようにしましょう。また、小論文が書けない人は、情報収集ができていないケースが多いと言えます。近年は、情報過多の時代で何から、どこからどんな情報を摂取すればよいのかの判断からして困ります。しかし、それでもテレビや新聞はもはや情報摂取媒体としてはあまり説得力を感じません。テレビは元々お話になりませんが、最近は新聞もかなり怪しいですので、新聞を安易に鵜呑みにするのは避けた方がよいでしょう。小論文や論文を書くときは、見渡せる限りの現状を見渡して、可能な限りの事実を並べて、その上で自分の主張を考えることが必要です。重要なことは、どんな情報であっても決して鵜呑みにせず、全否定もせず、批判的な姿勢で情報を摂取しそれを自分なりに駆使し、自分の考え方を作ることです。
一方で、小論文が得意な人というのは滅多にいません。やっかいなのは、なぜ苦手なのかがわからないということと、どうすればうまく書けるのかという方法論がわからないということです。個人的には、うまく書くというよりも、読み手をイメージして、この人を説得してみようと思って、頭の中で議論をしながら書くというイメージを持っていますが、そのイメージは人それぞれで良いと思います。小論文が書けない人は、テーマを与えられると、まず自分の頭だけで考えようとする傾向が強いようです。例えば出生前診断について書きなさいと言われると、いきなり書こうとします。しかし、それはどんな達人でも無理ですし、プロであれば、必ず何かしら手元に情報を並べてから書くでしょう。(テスト本番ではその練習成果を出すと考えてください)情報が多ければ多いほど論文はうまく書けると考えましょう。だからまず情報収集と、収集した情報を提供するといった意識が必要になります。文章を書く練習は、あまり必要だとは思いません。普通の日本語力、つまり、主語と述語を合わせることさえできれば、あとはそれほど特殊な日本語力は不要です。情報収集は、小論文の入試対策であれば、とりあえずはインターネットから入ることになると思います。私たちの世代は、インターネットを使うことなどあり得ませんでしたが、今は、足がかりを作るにはやはりインターネットは便利ですし、明らかに自宅の本棚よりも情報は豊富です。しかし、最近の大学生にありがちな検索して引っかかった最初のページか、ウィキペディアに全てを託すのはやめましょう。書けない人は、こういったところからコピペをする人であることは、あちらこちらで指摘されています。参考にしたいページは、省庁のページ、意外に有用なのが政治家のページ、大学教授のページなどは有効です。もちろんウィキペディアも用語検索、人名検索では威力を発揮しますので、使用するのは悪いことではありません。
小論文が書けないという人の中に多いのは、そもそも「書いたことがない」という人です。そういった人は、「とりあえず書いてみましょう」と言っています。とりあえず書いてみて、何が原因で書けないのかということを考えてもらう必要があるのです。小論文に限ったことではないかもしれませんが、原因を特定しない限り、進歩はしにくいでしょう。
本来、「合理的な指導」というのは、原因と結果の因果関係を明確にし、原因を変えることで、結果を変えることに注目する方法です。いつも言いますが、私たちは変な教育を受けてきていますので、合理的と言えば、「最小労働力」であったり、あるいは逆にふれて「結果にこだわらない」ことをあたかも教育であるかのように言ってみたりと、おかしなことだらけになっています。だから、原因を特定するという発想が抜け落ちてしまっている人が非常に多いということを感じざるを得ません。
また、例えば英語の場合、英語ができない要因を単語だけに求める人が多いのですが、決してそれだけではないはずです。だから、私は授業中も、生徒が英語の読みに詰まったときには、必ず「今は関係代名詞がとれていない」「分詞構文を無視した」などと、原因を特定して、そのトピックを生徒が理解しているかどうかをチェックします。生徒も何度も同じことを指摘されると自分が何が苦手か、何故それが苦手か、どうすればできるようになるかと考えざるを得なくなります。そこまでなればあとは自分でだいたいのことはできるようになっていきます。小論文も同様です。やはり原因を特定する必要があります。原因として多いのは、①情報(データ)不足②構成力の欠如(問い、回答、証拠のセットの欠如)③質問に答えられていない④論点が多すぎる(2個以上ある)このようなものが大半なのですが、これは、私の印象としては、自分で勝手にできるようになるものではないのではないかと思います。大学院に入り、将来論文書きになることを決意したならば、たくさん書くうちにできるようになることもあるでしょうが、それでも一定の指導は受けるでしょう。ましてや受験の段階ではほとんど、小論文のまともな指導など受けたことがない人が大半です。その意味では非常に難しい試験と言えるのです。
一定の指導を受けると必ず生じることが、抽象的な言葉を使ってはならないということです。具体的にするという習慣が身についていないと、事実関係を述べるのが苦手ということにつながってしまいます。ここまで述べてきた情報収集も事実を述べるために必要だからです。例えば、今プロ野球が佳境に入りつつありますが、AチームとBチームの試合について、質問を受けたと仮定します。例えば、回答が「良い試合だったよ」だけだった場合、何の情報提供にもなっていません。次に「Aが勝ったよ」だけでも話はつながらないでしょう。せめて「Aが3対0で勝ったよ」なら相手も質問しやすくなります。「完封勝ち?、Aのピッチャーがよかったの?」あるいは「Bのバッターが調子悪かったの?」とつながります。例えば、Aに150キロ以上出す注目のピッチャーがいたとしましょう。そのピッチャーはやはり評判通りだったのか、それとも先を見越して温存したのか、たくさん疑問が出てきます。言い出すとキリがないので、ここで止めますが、一つでも具体的な情報が伝わると、次々と疑問が連なり、この疑問の連鎖こそが、「深さ」につながるのです。日常から具体的に話題を展開する習慣がみについていないと、深い話ができないということにつながってしまいます。上記(長いですが)を踏まえて、具体性かつ深さを意識するための疑問を連鎖させられるようになれば、小論文は誰でも書けるようになります。



******************************

公式ホームページはこちら
大学院・大学編入受験専門塾 京都コムニタス
入塾説明会情報
ご質問・お問い合わせはこちら

京都コムニタス公式ブログ

自分磨きのための仏教
龍谷ミュージアム
仏教の魅力を伝えるプロ

REBT(論理療法)を学びたい方はこちら
日本人生哲学感情心理学会

この記事を書いたプロ

京都コムニタス [ホームページ]

塾講師 井上博文

京都府京都市南区東九条西山王町11 白川ビルⅡ402 [地図]
TEL:075-662-5033

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
合格者の声

私がコムニタスに入塾したのは大学3回生の10月でした。大学では法学部に所属しており、心理学に転向することに不安しか抱いていませんでした。塾を選ぶ時は自転車で通え...

臨床心理士指定大学院取材

臨床心理士指定大学院取材-京都光華女子大大学院取材者:京都コムニタス塾長2011年5月12日に京都光華女子大学大学院の臨床心理士指定大学院にインタビューをさせて...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
大学院・大学編入受験専門塾「京都コムニタス」塾長 井上 博文(いのうえ ひろふみ)さん

大学院・大学編入受験合格後を見据えた指導が評判。大人が勉強できる塾です(1/3)

 JR京都駅から歩いてすぐのところに、大学院・大学編入受験を専門とする塾「京都コムニタス」はあります。塾長の井上博文さんは「大人になってから勉強を始めても決して遅くはありません。むしろ、大人になってからの方が中身の濃い勉強ができるはずです」...

井上博文プロに相談してみよう!

京都新聞 マイベストプロ

確かな観察眼で生徒の能力を余すところなく引き出せる

会社名 : 京都コムニタス
住所 : 京都府京都市南区東九条西山王町11 白川ビルⅡ402 [地図]
TEL : 075-662-5033

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

075-662-5033

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

井上博文(いのうえひろふみ)

京都コムニタス

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
このプロへのみんなの声

合格体験記

受験を志したきっかけ  私は、ここ数年間がん専門病院におい...

U
  • 40代/女性 
  • 参考になった数(8

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
コムニタスという名称について

最近よく「コムニタス」とはどんな意味ですか?と質問をしていただきます。私としてはちょっとうれしい質問です...

[ 京都コムニタス設立の理念 ]

京都コムニタスの特長

最近、他職種の人や、新規の問合せを頂いた方々から質問され、あらためて京都コムニタスの特長や利点を考えてみま...

[ 京都コムニタスとはどんな塾か? ]

京都コムニタスの利点ー京都駅前立地
イメージ

ものすごくベタな表題ですが、最近よく質問を受けますので、お答えしたいと思います。今回は塾の中身ではなく、...

[ 大学院受験、大学編入受験予備校の選び方 ]

12月の勉強方法

昨日も書きましたが、12月に入りました(入っちゃいました)。もう師走で、今月も、あっという間に終わり、2017年...

[ 勉強方法 ]

インフルエンザ

12月に入りました(入っちゃいました)。当塾の講師がインフルエンザに罹り、出勤ができなくなっています。インフ...

[ 京都コムニタスとはどんな塾か? ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ