コラム

 公開日: 2016-06-17 

論述や小論文で減点を減らすテクニック

以前文章を書けるようになるための5つの基本的ルールというコラムの最後にこう書きました。
「仮に、わからない論述問題、全く知識のないトピックに関する小論文の問題が出たときにどうするのか、という問題は、大学院受験や編入受験をする際に極めて重要な問題と言えます。悪い言葉で言えば、いかにミスをごまかすか、あるいは、いかにミスと思われないようにするか、あるいは、いかにミスをリカバーするか、このあたりのテクニックは知っていて損はありません」
このテクニックを使うための基本ルール五種が今回のテーマです。
①文章をわかりやすくする
②問いに答えきれていなくても間違ったことを書かない
③拙くても根拠を出す
④カミングアウトをしない
⑤他人を攻撃したり、誹謗中傷をしない

としましたが、しばらくこの五種について解説を加えます。
①文章をわかりやすくする
以前、国語文法について少し触れました。文章をわかりやすくするには、主語と述語の関係を明確にした上で、単文で書くことが基本です。複文は極力使わないようにすると良いでしょう。複文とは、英語で言う関係代名詞のある文の和訳のような文です。「私は、父が医者である少年を知っている」といった感じです。絶対に使ってはいけないわけではありませんが、あまりたくさんあると、読み手は読みにくいです。読みやすい文章とは、一回で理解できて、戻って読み直さなくても良い文章です。その上で重複が少なく、適度に代名詞を使って、コンパクトにするということも大切なことです。
また、無理に難しい言葉を使わないことも大切です。もっと言えば、自分が知らない言葉を使わない方が無難です。確かに私も辞書を引きながら、文章を書きますし、生徒と研究計画を作っている時でも、よく辞書を引きます。例えば「受容ってどういう意味?」「どこからどこが受容?」こういった問いかけは重要です。常に自分が使う言葉の定義や使用範囲を考えておく必要があります。同じ言葉でも、人によってその範囲は異なるのです。自分なりに日常から使用範囲を定めておくと、いざ文章を書く時には、読み手にこういった疑問を抱かせないような書き方をすることができるようになってきます。そのあたりがつたないと、
「それって、結局受容ではなくて、受容ができていないのでは?」
と逆の意味で受け取られてしまうと、場合によっては、その文章全体が命を失ってしまいます。こういったこともあって、とりわけ本番では極力難しい言葉の使用を避けようという意識があるとちょうど良いと思います。
 難しい言葉を難しく言うのは誰でもできる。
 難しいことを簡単に説明できる人は人材である。
 簡単なことを難しく言うのはバカである。

とある先生の言葉ですが、その通りだと思います。次に、誰でもいいので、読み手を意識することも重要です。本当にその人が読むかどうかはわかりませんが、この人に読ませてみたいと思って書くと、意外に読みやすい文章はできます。やはり、常に読んで欲しい人を意識して書いています。その際、できるだけ、焦点を定めます。不特定多数に向けると、やはり薄い文章になります。こういった点は志望理由書に出ます。例えば、私は、必ず「○○大学(院)△△学科でなければならない理由」を書くように指導しています。これが「大学院(編入)志望理由書」といった形で、どこの学校にも通用しそうなフォーマットを作って、あとは大学に合わせる、といったものになってしまうと、その内容は中味の薄い全く不適切なものになってしまいます。誰に読んで欲しいかを常に考えておくことは重要なのです。よく「ラブレター」と表現されるのは、こういった側面があるからです。やはり文字や言語はコミュニケーションツールであるので、「誰かに何かを」あるいは「特定の人に求められたことを」あるいは「大切な人に大切なことを」伝達することを可能にするものです。その際にわかりにくければ、大切なことが伝わらないかもしれません。読み手に自分の伝えるべきことを、できるだけ全部伝える。これが基本です。

テクニックその②「問いに答えきれていなくても間違ったことを書かない」
マークシートの場合、問題に何かしらのミスがない限り、加点は正解しかないのが基本です。しかし、大学院受験や編入受験は答えは一つとは限っていません。あるいは求められていることが正解というよりは、情報量であることもよくあります。要するに、ピンポイントの正解の単語を一つだけ書くよりも、間違っていない回答を、周辺知識も統合して、豊富な情報量で書く方が良い場合もあります。仮に、フロイトについて、知るところを述べよ、という問題が出たとします。(最近はあまりないと思いますが)しかし、フロイトについて、ほとんど知識がないとします。(あまりないと思いますが)しかし、ユングのことなら詳しいとします。そういった場合、フロイトとユングのつながりや交流についてであればユングを中心に書くこともテクニックとしてはあり得ますし、必ずしも正解ではありませんが、とくに間違いであるとも言えません。屁理屈を言えば、ユングでもってフロイトを説明したと言えなくもありませんから。もちろん、これは苦肉の策であって、望ましいことではありませんが、これは勉強のことと言うよりは、本番で困ったときの戦略として保存しておくのがよかろうと思います。あきらめてしまえば、そこまでですが、まずはあきらめない姿勢をしっかりもっておくことが重要です。また、そういった時には情報量は必ず多めにしましょう。スペース一杯に書くことを心がけるのが妥当です。

③「拙くても根拠を出す」
論述でも小論文でも、自分が述べたことに対して、必ず何かしらの客観的根拠をつけなければなりません。またインターネットだけをこねくり回して、独自調査などと言ってそれを根拠にするようなことはあってはなりません。しかし、自分で足を運んで何かしら調査したことがあるならば、これは立派な情報になりますので、小論文の場合は、是非出しましょう。小論文の場合、自分なり調査や経験値はある程度根拠として見なしてもらえます。学術論文の場合は、これは場合によっては参考資料扱いになります。今年も、街頭インタビューをして情報を集めている人がいます。本当に感心します。できれば、自分の経験及びそこで感じた問題意識、あるいはそこで経験したことを客観的に数値化しておくと、いざと言う時に使えますので、是非用意しておきたいものです。また、論述の場合は、書籍や論文の知識があると、非常に書きやすくなります。フロイトの事例で言えば、彼の代表作の知識やそれが後継にどう影響を与えたかの系譜を知っておけば、それだけで良い情報が提供できます。根拠を出すということは、読み手に質の良い情報を提供しようという意識があってできることでもあります。是非その意識を持っておきたいところです。

④「カミングアウトをしない」
最近減ったと思うのですが、筆記でも面接でも、答えに窮すると自分の抱える問題をカミングアウトする人がいます。これは適切とは言えません。臨床心理士指定大学院の場合、面接において、たまに、
「自分の問題を知っていて、それをもう解決していますか?」
という少し刺激的な質問をされる場合がありますが、こういった時にはある程度自分のことを語る必要はありますが、そうでもない限りあまり自分の問題に関することをカミングアウトする必要性はありません。もちろん、自分の仕事において、感じた問題意識や他者の問題を解決した経験などは、うまく言葉にしておくと、有効な武器となり得ますが、それとこれとは別問題です。カミングアウトをする時、人はかなり主観的になり、むしろ客観を忘れがちです。こういった時、論述や面接の基本を忘れてしまいます。その基本とは情報提供意識であって、読み手、及び聞き手に対して、求められた情報を正確な形で提供するという意識を手放してはならないのです。もちろん、試験以外の場において、
「あなたの個人的な情報を聞きたい」
というシチュエーションがないとは言えませんので、その時には、思う存分カミングアウトをすればいいと思うのですが、試験における情報提供で、個人的な問題はそれほど重要ではありません。その個人の経験や蓄積をどの程度客観化して、それをより多くの人に提供すべく普遍化できているかということの方が重要です。出題者が何を知りたくて、こちらに何を求めていて、どういった情報を望んでいるのかということを常に考えておけば、安易なカミングアウトは自然と減少していくはずです。


⑤「他人を攻撃したり、誹謗中傷をしない」
これは本当に重要です。時々自分の不安ややましさを他人のせいにして、他者を攻撃するという、ロクでもない人がいますが、これを公式の文章に書いてしまうと、読み手に嫌悪感を与えてしまいます。小論文などの文章を書く時は、基本的に全ての責任は書き手にあります。言い換えれば、(よくも悪くも)他者のせいで、自分の文章ができあがるということはないということでもあります。自分の力で、自分の足で、自分の能力で調査したものを、数値化したり、文字化したりして、形にすべくまとめあげ、その情報を読み手に提供することが仕事です。決して小論文の場で誰か個人を批判したり、誰かの論を否定したりしてはなりません。批判のつもりが、単なる否定になったり、下品な攻撃になってしまうと読み手に不快感を与えてしまうということです。


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