コラム

 公開日: 2016-08-22 

完璧主義と安心と不安

受験が始まりました。一人、「受験行ってきます」と言って、塾を出て行きました。いよいよ始まったなぁと思いながら、願書作成に追い込まれています。試験が始まると、学科が終わって、次の日が面接という人は、塾に電話をかけてきて、面接対策の確認や緊張の取り方などを再確認することもしばしばです。遠く離れた地から電話をしてくる理由は不安だからです。不安を少しでも解消して安心を得たいという気持ちもあります。何で不安になるのかというと、受験の場合、人にもよりますが、完璧主義が起因していることが多々あります。この三種はどうも連動しているようです。

安心、安全、安定という言葉は、私たちには重要な言葉です。できるだけ安心できる社会に暮らしたいと思っています。しかし、どれも確実なものはなく、人為的な尽力によって、保たれるものです。安心は不安が解消されたら得られるとは限りません。また、常時安心をすることはほとんど不可能だと思います。以前、とある講習会で、「不安の反対は安心である」と言い切られたことがあり、強い違和感を感じました。もしそんな社会があったら危険なのではないかと思います。その場合、問題は不安解消方法です。隣の国が軍事的脅威であるとして、この国の人々が不安になったとして、じゃあこの国も軍事を強めたら不安解消になるのか、果たしてなっているのか、と言われると、間違いなくなりません。なぜなら、こちらが軍備を強化しても、相手方も不安を根拠にさらなる軍事強化をするからです。もしもそれを理解せずに、この国の指導者が軍備を強化するのであるならば、指導者失格ですし、理解していないならなお失格です。不安を完全に消して、完全な安心を得ることなど、そもそもあり得ないのです。要するに各人の現状のとらえ方次第ということになるのです。

よく私たちは
「●●だけしていれば合格できますか?」系統の質問を受けます。
例えば
「授業だけ受けていれば合格できますか?」
「この単語帳だけやっていれば完璧ですか」
などです。
大学院受験や編入受験は、トータルで自分を作り上げることがポイントです。いつも言うように、競技の性質は、フィギュアスケートと似たところがあります。フィギュアスケートの選手はトータルで自分を作ります。オリンピックを見ていると、同じような競技はたくさんありました。技術はもちろん、音楽、衣装など、手を加えないといけない面がたくさんあります。そして、一人ずつにコーチがつきます。それでも、実際に競技に出るのは本人だけですので、本番で力を発揮できるかどうかは非常に重要なポイントです。オリンピックに出るような選手で本番に弱い人はいないでしょうから、本番でミスをしないように、あるいは普段の力以上の力を出せるようにリードするのが、私たちコーチの役割です。

その目的のために生徒(選手)に安心感を提供することも時には必要なことです。しかし、生徒(選手)は、不安の解消として、「●●だけしていれば金メダルが取れる」という、●●だけ探そうとすると大失敗に終わります。そもそもそんなものはありませんし、不安に負けてしまうと、余計にうまくいきません。私がいつも教員にも、スタッフにも生徒にもいう言葉に「不安を根拠にするな」というものがあります。
「不安だからこの単語帳を覚えよう」
といって単語を覚えると、次どうなるかというと
「この単語が出なかったらどうしよう」
となります。そしてさらに不安になるのです。そして
「じゃあ、また別の単語帳を勉強しよう」
となり、他の単語帳を見て覚えたとします。そうするとそのうち
「最初に勉強した単語帳を忘れていたらどうしよう」
となります。このグルグルループにはまり込むと、結局何も身につきません。この観点からすると安心も同じことです。「安心」を根拠にするとやはりうまくいきません。
「貯金していたら、老後は安心だ」
と思って貯金しても、なかなか安心できる金額にはなりません。また、安心できる金額など存在しません。一億円あっても不安がなくなることはありません。これを受験勉強に当てはめると、
「過去問をしているから安心だ」
はあり得ません。過去問などしても安心できるはずはありません。もちろん、過去問に限ったことではありません。有名な先生の授業を受けても、それだけでは安心できませんし、有名な学校に行ったからといっても何も安心できません。安心と不安は実は近い感情で、絶対的なものではなく、非常にあいまいなものです。その点を理解して、完璧な不安などなく、完璧な安心もないということを受容し、その上で、「ほどよい不安」と向き合って、「適度な安心感」を持つことを心がけておくとよいでしょう。


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