コラム

 公開日: 2017-08-16 

教養が自分を守ってくれる

教養はとても漠然とした言葉で、つかみ所のないものです。だから、大方の意見としては、「あった方がいいもの」くらいではないかと思います。私の見解は、もちろん「なくてはならないもの」「生きるために必要不可欠なもの」です。大学というのは、おそらく生まれて初めて教養を習うことができるところだと思います。小学校と中学校は、親が子どもに教育を与える義務教育で、その趣旨は、受験戦争に勝つための戦力搭載ではなく、予測能力を養うことにあります。国語で文字と文章を覚えるのは、当然、日本語で情報を得るためのものです。これがないと予測ができません。算数や数学も同様で、計算ができないと、値段の予測もできません。分数がわからないと、ケーキを買っても人数分で割ることができません。音楽であっても、聞いたことのある音と、聞いたことのない音を学ぶことで、例えば、導入の部分だけで、どの曲かがわかるようになります。体育は身体の反応として、危険を予測する能力が身につきます。要するにどの教科も予測ができるようになることが想定されているのです。高校になると、いわゆる高等教育になり、ここからは、学問分野を学ぶための基礎を習います。大学になると、習うだけではなく、自分で問題を見つけて、形にすることをスキルとして身につけます。大学のもう一つ重要な役割は、アカデミックスキルを身につけるにあたって、その質を高めてくれる教養を提供することです。おそらく大学ほど教養を身につけられる機関はないのではないかと思います。
教養がなぜ必要不可欠かという理由は、あまりにもたくさんありすぎて、すべてをここで記すことはできませんが、私が考える最も重要な理由は、「教養が自分を守ってくれる」ということです。私の土台は仏教でできています。今も決して熱狂的信者ではありませんが、おそらく大学に入ったときは、オウム真理教がまだ全盛期だったころ、京都にはたくさんのオウムのパソコンショップがあったころでしたが、私は宗教に関して、「所詮金」「心の闇につけこんだビジネス」くらいの抽象的な言葉で語り、その他の部分を見ようとはしていなかったと思います。今思えば恥ずかしい話ですが、今、これを恥ずかしいと思える、そして、こんなコラムで自分の恥ずかしさを書けるようになった、ということも、少しは教養が身についたのではないかと思いたくなります。それはともかく、宗教をよく知ろうとすると、必ず歴史と背中合わせであることに気づきます。この国は、聖徳太子以降、仏教国になりますが、仏教国というのは、官僚システムに仏教が取り込まれ、国民に仏教的な生活をすすめていくものです。必然、仏教を中心した文化が生まれますし、仏教とそれ以前からある土着の思想と融合し、それがあたかも元々そうであったかのような理解がなされていき、それがこの国の思想を形成する際に利用されていきます。
この国は、祈りに支えられてきた国です。794年平安京になりますが、桓武天皇は奈良に仏教を置き去りにしたにも関わらず、空海、最澄という二大スーパースターを擁して、新たに仏教の祈りに支えられた都を作ります。おそらく、今では考えられないくらい複雑な儀礼や儀式があったでしょうが、それらには、長年の蓄積があり、すべて何らかの意味があったはずです。それらをよく知ろうともせず、効果が見えない、めんどくさい、意味がわからない=意味がないと歪めてしまい、故に祈りなど無意味であると断じ、それをやめてしまうということをこの国は選択しませんでした。現代も尚、この国は祈りに支えられています。
このようなことを、非科学的と考える人は多いかもしれません。しかし、決してそうではありません。仏教はそもそも科学的な宗教です。超がつくリアリズム宗教です。そんなこと言っては身も蓋もありません、といったリアリスティックな記述の宝庫でもあります。REBTは不健康でネガティブな感情をよくないものと見なします。もちろん、健康によくないのです。アレキシサイミアというものがありますが、「自分の内面的な感情の変化には鈍感だったり無関心であること」「行動を起こすことで、精神作業を回避している」「感情を言語化できない」などといった状態で、今はあまり言いませんが、昔は「失感情症」などと呼ばれていました。何らかの事情で、不健康な感情が知覚できなくなると、そのダメージは身体に来ます。感情は、防御装置でもあります。私たちの身体は痛みを感じることで、防御ができます。しかし、感情的痛みを感じなくなると、例えば、私の知る例ですが、最終的には胃に穴があくということもあり得ます。やっかいなのは、本人が気づかなくなってしまっているところです。アレキシサイミアは医学的な問題ですので、必ずしも日常生活と直結しない面もあるのですが、例えば、日本にもたくさん風習というものがあり、それを破ると、批判の目にさらされ、いたたまれなくなるということはあります。外部からやってきて、その批判の目に耐えきれなくなる人も少なくありません。うまくいく人は、自分からその風習に溶け込んでいく人です。イザベラバードの日本での旅行記が、今漫画になっていますが、彼女の旅行記を見ると、事前に旅をする予定になっている場所のリサーチをして、優秀な通訳を雇いつつ、現地の風習に体当たりで入っていく。それが結局自分の身を守る術になっているということです。彼女の教養は非常に高く、常識の違いに右往左往しながらも、日本人に対する差別心の強い同胞に批判的でもあります。当時、女性がパーティも組まず、単独で旅をするのは命がけだったと思います。それでも生き抜いて、すばらしい旅行記を書けたのは、ひとえに彼女の教養の深さだったのだろうと思います。




******************************

公式ホームページはこちら
大学院・大学編入受験専門塾 京都コムニタス
入塾説明会情報
ご質問・お問い合わせはこちら

京都コムニタス公式ブログ

自分磨きのための仏教
龍谷ミュージアム
仏教の魅力を伝えるプロ

REBT(論理療法)を学びたい方はこちら
日本人生哲学感情心理学会

この記事を書いたプロ

京都コムニタス [ホームページ]

塾講師 井上博文

京都府京都市南区東九条西山王町11 白川ビルⅡ402 [地図]
TEL:075-662-5033

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
合格者の声

私がコムニタスに入塾したのは大学3回生の10月でした。大学では法学部に所属しており、心理学に転向することに不安しか抱いていませんでした。塾を選ぶ時は自転車で通え...

臨床心理士指定大学院取材

臨床心理士指定大学院取材-京都光華女子大大学院取材者:京都コムニタス塾長2011年5月12日に京都光華女子大学大学院の臨床心理士指定大学院にインタビューをさせて...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
大学院・大学編入受験専門塾「京都コムニタス」塾長 井上 博文(いのうえ ひろふみ)さん

大学院・大学編入受験合格後を見据えた指導が評判。大人が勉強できる塾です(1/3)

 JR京都駅から歩いてすぐのところに、大学院・大学編入受験を専門とする塾「京都コムニタス」はあります。塾長の井上博文さんは「大人になってから勉強を始めても決して遅くはありません。むしろ、大人になってからの方が中身の濃い勉強ができるはずです」...

井上博文プロに相談してみよう!

京都新聞 マイベストプロ

確かな観察眼で生徒の能力を余すところなく引き出せる

会社名 : 京都コムニタス
住所 : 京都府京都市南区東九条西山王町11 白川ビルⅡ402 [地図]
TEL : 075-662-5033

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

075-662-5033

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

井上博文(いのうえひろふみ)

京都コムニタス

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
このプロへのみんなの声

京都文教大学大学院 臨床心理学研究科 臨床心理学専攻

私は大学院進学の意志を大学入学時から持ち続けていたが、具...

Fさん
  • 60代以上/女性 
  • 参考になった数(5

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
コムニタスという名称について

最近よく「コムニタス」とはどんな意味ですか?と質問をしていただきます。私としてはちょっとうれしい質問です...

[ 京都コムニタス設立の理念 ]

京都コムニタスの特長

最近、他職種の人や、新規の問合せを頂いた方々から質問され、あらためて京都コムニタスの特長や利点を考えてみま...

[ 京都コムニタスとはどんな塾か? ]

京都コムニタスの利点ー京都駅前立地
イメージ

ものすごくベタな表題ですが、最近よく質問を受けますので、お答えしたいと思います。今回は塾の中身ではなく、...

[ 大学院受験、大学編入受験予備校の選び方 ]

50代ですが、臨床心理士指定大学院に行くべきでしょうか、心理系学部に入り直すべきでしょうか?

今最も多くいただいているお問い合わせです。結論を先に言えば、学部で心理学を学びたいという希望がない限りは、...

[ 臨床心理士指定大学院に行くための勉強方法 ]

こんな私でも成長できますか?こんな年齢でも大丈夫ですか?

よく表題のような相談をいただきますが、確かに学ぶことと、成長することは必ずしも一致しません。しかし、学ぶこ...

[ 臨床心理士指定大学院に行くための勉強方法 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ