コラム

 公開日: 2017-12-05 

優しい遺言書のつくり方 ~付言について~

 皆様こんにちは。
 今回は、遺言書に記載された方がよいと思われる項目をお伝えする最終回で、「付言」についてです。

 皆様は、「付言」という言葉を聞かれたことはあるでしょうか。
 遺言書における、付言(付言事項とも言われます)とは、実際に引き継いでもらう財産の具体的内容などでなく、遺言者さまの想いや希望などを記載することをさします。
 また、付言に記載する内容については、特に規定はありませんので、遺言者さまが遺されたご家族宛てに、ご自由に最後の言葉を記載するところとなります。
 
 一般的には、遺されたご家族へ感謝のお気持ちを綴ったり、子供達に仲良くして欲しいなど、親としての希望を伝えたりする場合や、遺言書に記載された内容の補足説明として、なぜそのような内容にしたか、ということをご自身の言葉で伝えたりする場合にも用いられております。

 付言の記載事項には、特に法的な拘束力はありませんが、同じ遺言書でも財産の引き継ぎ方法のみが記載されているよりも、遺言者さまの想いが付言として遺されている方が、より思いやりの感じられるものになりますし、それだけで揉め事の防止につながる場合もあります。

 特に、お考えがあって法定相続の割合とは違う内容の遺言書にされた場合、その経緯やお考えの真意をご家族がご存知ない場合、遺されたご家族で不公平感を感じられる方がおられるかもしれません。
 高齢となった配偶者により多く遺してあげたい、という場合や、障害をもった相続人さまに対し、そのお世話をお願いする方に他の方よりも多く遺される、という場合などです。 
 そのような時に、その理由が遺言者さまご自身の言葉で述べられていると、ご家族の方も安心や納得をされる場合が多いのではないでしょうか。

 他に、遺言者さま自身の葬儀や埋葬方法、その後の法要についてご希望がある場合、それを記載する場合にも用いられます。
 こちらは、前回ご紹介した、遺言執行者との「死後事務委任契約」と併せて、その旨を記載することもあります。
 「私の葬儀は樹木葬で、親族のみで出来るだけ簡潔に行って下さい」とか、「初七日や一周忌等の法要は行わず、親族がなごやかに食事会をする場にして下さい」などとし、「それらの事は、遺言執行者として〇〇さんを指定してありますので、〇〇さんとよく相談してすすめるようにして下さい」いう具合です。

 このように、付言には特に規制などが無い分、何を記載しても問題ない、という訳ではありません。
 一般的な留意点としましては、ご自身の希望を記載される場合、生前に行ってほしい希望を記載されても、あまり意味がないと思われます。
 
 例えば、ご自身が重い病気にかかり、死期が迫った場合の延命処置を拒否する、などという場合です。
 遺言書は、それをつくられた方が亡くなって初めて効力が発生するものですし、亡くなった時に初めて開示された場合などを想定していただくと、おわかりになっていただけるかと思います。
 
 ちなみに、この延命拒否のご希望は「尊厳死宣言」などと言われますが、こちらは遺言書ではなく、別に「公正証書」を作成するという方法や、「尊厳死宣言書」をご自身で作成されるという方法で、対応することになります。

 また、付言の中で、遺言に条件や期限を記載したと解釈できるものは、避けた方がよいと思われます。
 「長男と長女が母親の面倒をみない場合、法定相続通りの内容にして下さい」などの内容です。
 これらは、遺言の具体的内容に条件をつけたと解釈をされた場合、その真意をめぐって揉め事の原因になることがあるからです。
 
 他には、当然のことですが、相続人さまへの批判や悪口などは極力避けるべきです。
 どのようなご事情があるにせよ、それを記載された相続人さまにとっては、許し難いと感じる場合もあるでしょうし、それが原因で、遺言内容を否定したり、相続人さま同士の余計な争いを誘発したりする可能性もあるからです。

 現在では、エンディングノートを始めとして、いわゆる”終活”に関する書籍などもたくさん販売されておりますので、それらと併用することで、遺言や付言の内容は具体性を帯びますし、遺言者さまの真意を、遺されたご家族に示されることは、とても意義のある事だと思われます。


 次回は、「優しい遺言書のつくり方 ~その他の注意事項について~」をお伝えさせていただきます。
 よろしくお願い致します。
 

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