コラム

 公開日: 2015-01-08 

えん罪と犯罪被害者

 昨年のことだが、袴田さんが釈放された。えん罪は罪を犯してもいない人を長期間に渡り身柄拘束し、死刑が言い渡された場合であれば死の恐怖と隣り合って刑務所の中で過ごすため、精神が崩壊する場合もあるということもあり、当然のことながら、絶対にあってはならないことである。

 私のように被害者支援をしている人間からすると、えん罪は、犯罪被害者という側面から見た場合、捜査機関の杜撰な捜査により、真犯人を捕まえる機会を失わせてしまうという側面がある。

 そういう意味で、えん罪によって長期間身柄拘束された人の人生ばかりでなく、犯罪被害者及びその遺族の人生も取り返しのつかないこととなってしまう。

 真犯人が見つかっても、「時効」の壁が立ちはだかる場合があるからである。

 また、捜査機関は今更真犯人を捜すこともしないだろうし、時間の壁がたちはだかり、真犯人を捜査することも不可能となってしまうだろう。

 少し前に読んだ足利事件のことが一部書かれている「殺人犯はそこにいる」(新潮社、清水潔著)という本は、被害者に焦点があてられているというところが素晴らしいと思う。通常は、えん罪によって長期間身柄拘束された人にスポットが当てられるからである(もちろん、そのことは非常に重要であることは論を待たないが)。
 誤判は犯罪被害者が真犯人に対して被害者としての声を上げる機会も失わしめてしまう。もちろん、被害者がいない事件もあるにはあるが、多くのえん罪を産んだ事件は被害者がいる事件である。
 捜査機関は、誤判がなされた場合には、私的報復が許されない以上、被害者の権利も永久に奪いかねないかも知れないということを肝に銘じて欲しい。

この記事を書いたプロ

中隆志法律事務所 [ホームページ]

弁護士 中隆志

京都府京都市中京区二条通河原町西入榎木町95-1 延寿堂第2ビル5階 [地図]
TEL:075-253-6960

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
解決の事例

1、自賠責では後遺症が非該当とされ、損害保険会社から債務不存在(要するに保険会社側から賠償金の支払義務がないことの確認をする為の裁判)訴訟を提起されたが、判決...

弁護士費用について

 マイベストプロを見られた方は、初回相談料を無料にさせていただいております。 ご予約の際にお問い合わせください。 また、当事務所の3名は、全て法テラス(...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
中隆志 なかたかし

多重債務や犯罪被害、交通事故被害に苦しむ人々を法律によって救いたい(1/3)

 「法律を知らないがために不利益を被っている人々を守りたい」。インタビューの冒頭、弁護士の中隆志さんは淡々とした口調ながらも熱い思いを語ってくれました。京都市営地下鉄「京都市役所前」駅から歩いて約5分のところに中隆志法律事務所を構える中さん...

中隆志プロに相談してみよう!

京都新聞 マイベストプロ

交通事故、離婚、遺言・相続で適切な対応は中隆志法律事務所へ。

会社名 : 中隆志法律事務所
住所 : 京都府京都市中京区二条通河原町西入榎木町95-1 延寿堂第2ビル5階 [地図]
TEL : 075-253-6960

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

075-253-6960

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

中隆志(なかたかし)

中隆志法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
このプロへのみんなの声

お金もうけではなく、依頼者のための弁護士だと思いました。

 一審判決が出たときに、丁寧な説明をしていただいて、控訴...

Y
  • 50代/男性 
  • 参考になった数(1

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
足の親指の爪が取れるの巻

 サッカー経験者は誰でも経験していることであろうが、左足の親指の爪が取れている。 完全に取れた訳ではなく...

読書日記「水底の女」

 早川書房。レイモンド・チャンドラー。 村上春樹の新訳によるチャンドラーのマーロウものの長編の最後である...

読書日記「外連の島・沖縄-基地と補助金のタブー」

 飛鳥新社。篠原章。  沖縄に補助金がどれだけ支払われているか、基地に関してどのような歴史的・政治的背...

舌をペロリと出すワン
イメージ

 舌をぺろりと出している小次郎(二代目)である。 12月も少しずつ押し詰まってきましたが、頑張っていきま...

読書日記「羽柴家崩壊」

 平凡社。黒田基樹。 真田丸の時代考証を担当した著者による史料から見えてくる羽柴家崩壊の経緯。 真田丸...

コラム一覧を見る

人気のコラムTOP5
スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ