コラム

 公開日: 2015-10-01 

主治医の先生の訃報

 7月から私の主治医の先生が検査入院をされるというので、いつもより大目に薬を出してもらっていたところ、一度退院されたようだが、その後また入院され、入院が長引くというので、病院に電話を入れたりして再開を待っていた。
 そうしたところ、先日、先生が9月4日にお亡くなりになられたというハガキが自宅に届いた。
 68歳という若さであった。
 病名は何であったろうか。7月に最後の診察をしてもらった時にはお元気そうであったのに。
 ご自宅も知らず、医員も閉鎖されたので、弔意を示すこともできない。

 先生は、滋賀県の瀬田の駅前で開業されていた方であった。
 私が独立してほどなく喘息発作を起こし、一時は救急車で病院に運ばれるほどであった時に、近くの大きい病院の呼吸器科に通った。
そこの診察では、全くよくならず、挙げ句の果てに、「心臓ではないか」「いや背骨が曲がっているせいではないか」と言われ、私の方は医療の専門書を読み込み、その知識でもってそこの若い(おそらくは大学から派遣されている)医師に「このような治療法もあるようだが」というと、「医師がいっているのだから、それに従いなさい」と強い調子でいわれて、「この病院では殺されてしまう」と思い、医者側の代理人をしている弁護士に滋賀県の呼吸器科の名医ということで紹介してもらった。

 息も絶え絶えに受診し、症状を説明した紙を持参したところ、先生は紙を読まれていて、「中さん、喘息以外の何物でもないと思いますね」と断定された。
 背骨が曲がっているといわれたことに対しても、一応レントゲンを撮ろうかといわれ、画像をよんで、「これくらい、誰でも曲がってますね。」といわれた。
 呼吸も苦しい状態で、心臓の検査なんてつらかったでしょうといたわってくれ、まさに私が喘息の専門書で読んだ治療法(気管の炎症をとるために、吸入ステロイドを短期間だけ量を増やして吸引するというもの)をいわれて、薬を処方してくれた。
 先生の確定診断によって、そのときの私の気持ちがどれだけ軽くなったかわからない。
あれから9年になるが、あの先生に出会えていなかったら私は既にこの世の人でなく、適当な医師によって殺され、今ここで仕事をしていないだろうと思っている。
 先生のところに通院してほどなく、私の症状は治まり、息が出来なかったのがおかしいほど普通の生活に戻れた。サッカーもできるようになり、仕事もできるようになった。
 その後、必ず1ヶ月に一度、先生のところで受診して薬をもらい、きちんと薬を朝晩服用するようになってから、発作を起こしたことはない。
 先生はあまりうるさいことはいわれず、書籍によると喘息患者は酒を飲むなとあるが、「発作が起こらないなら、お酒も飲んでいいですよ。飲まない方がストレス溜まるでしょうしね。」といってくれたり、「中さん、たばこは吸う?」と聞かれて、「葉巻は吸います。喘息患者だからダメですよね」というと、「まあ、発作が出ないならいいでしょう。ストレス貯める方が問題ですからね」といってくれた。
 杓子定規ではなく、いきた医療を実践されていたように思う。

 先生からは、「中さんは患者の模範ですよ」といわれたこともあった。どういうことか聞くと、喘息患者の大半は、息が苦しい状態がおさまると、薬を吸引しないようになり、発作が出てひどい状態になってから先生のところを受診するのだということである。
 私のようにきちんと通院する人はどちらかというと少数派で、先生からすると、ひどい状態になってから来られるのではなく、予防をされる患者が一番模範的だし、医師としてもありがいということをいっておられた。

 昨年から、先輩弁護士を二人失い、愛犬も失い、そしてまた今月、命の恩人を失った。
 愛犬は当然除くが、みな60代であった。
 若すぎる死が残念でならない。

 実はもう一人大事な方を失っているのだが(身内ではありません)、その方のこともまだ整理ができておらず、書くべきかどうかも含めて整理ができていない。
 平成27年は私にとって、ろくでもない年のようである。

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