コラム

 公開日: 2010-12-15 

秀吉


豊臣秀吉である。戦国一の出世人で、サクセスストーリーを絵に描いたような人生であった。木下藤吉郎秀吉から羽柴藤吉郎秀吉となり、最後は豊臣秀吉と改名している。

 彼の秀吉という名前は、「桶狭間の勇士」(文春文庫)という中村彰彦という作家の作品によると、信長に従って伊勢攻めをした際に、信長から古い名将に称えられた際に改名したとされている。その他の作品では、最初から秀吉である。幼名は日吉とされているが、日吉神社は猿を祀っているから、猿に似ていたという秀吉のあだ名であったのかもわからない。信長によれば、秀吉は、「禿ネズミ」ということであるらしい。

 秀吉は人たらしの達人であったとされる。ただ、秀吉の人たらしは言葉だけではなく、命がけである。よく秀吉というと、信長に取り入って出世したかのように思われているが、彼は随所で命をかけている。元々低い身分であったから、失って元々という気持ちがあったのだと思われる。

 信長が何度要請しても上洛しない朝倉氏を討つために越前入りした際、北近江の武将であり、信長の妹(一説には従兄弟)の「お市の方」の夫であった浅井長政が信長との同盟を破棄して背後を衝いたことがあった。浅井氏は、戦国大名として自立する課程で隣国である朝倉氏の多大な恩恵を受けており(最近の史料では、朝倉氏の被官同然であったとの説も唱えられている)、信長に、「浅井に断りなく朝倉を攻めない」という言質を取っていたにもかかわらず、信長がこれに違背したからである。

 信長はこの危機にほとんど単身で朽木を抜けて京にたどりついて難を逃れたが、このときに殿(しんがり)を買って出たのが秀吉である。秀吉はこの時点では、敵国の武将を謀略によって味方につけるなどの功績はあったが、戦場での働きはなかったことから、同僚の武将達に白眼視されていた。
 彼らに一目置かれて、織田家での地位を確たるものにするためには、この場面で命を捨てざるを得なかったのである。この行為には、秀吉を毛嫌いしていた柴田勝家も涙を流したという。
 野を朝倉氏の大軍が進んでくる状況の中、秀吉は金ヶ崎城に入り敵を引きつけて鉄砲で乱射してから城を抜けて退却した。何度も何度も追いつかれる中、鉄砲で反撃して全滅は免れて京都までたどりついたのである。
 この退却戦はあまりにも辛い戦いであったせいか、秀吉はあまりこの戦いのことを話さなかったともいう。このとき、徳川家康が引き返してきて秀吉を救ったともいわれていて、秀吉も後年家康に対して、「自分が今日あるのは金ヶ崎の際の家康殿のおかげである」と言っていたという。

 その他、敵の城に単身乗り込んだり、後年関白となった秀吉に臣従するために上洛した家康の宿所に面会の前日に数人で訪れ、翌日の面会の際、「自分を立ててくれ」と依頼したことなど(家康の家来が変な気を起こしたら殺されるのである)、ここ一番では命を捨てている。

 何か事をなすには、ここ一番での気合いが必要だということを、秀吉の挿話は教えてくれよう。

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