コラム

 公開日: 2011-01-11 

修習時代の釣り-後半-


本屋に行った私は、「慟哭の谷」(木村盛武著、共同文化社)という本を買ってきた。史上最大のヒグマが人を襲った悲劇ということに惹かれて読み始めたのであるが、怖い。ヒグマはとてつもなく怖いヤツだったのである。本土の方のツキノワグマは大きくなっても知れているし、ツキノワグマが人を喰ったという話は聞かない。一方、ヒグマはとてつもなく怖いヤツで、人は喰うわ、漁師に罠はかけるわ(漁師が熊の後を追っていると、途中で自分の足跡通り後戻りして、そこから茂みの横に飛ぶのだそうである。そして、漁師が通り過ぎるのを待ち、熊の足跡を追って前方に行った漁師を後ろから襲うのだ)、恐ろしいヤツであった。

 1915年の北海道がまだ開拓時代であった頃の話で、苫前村というところで、8人の村人が一頭の熊に喰い殺されたという事件である。しかも、最初の犠牲者の通夜をしていたら、そこに熊が襲撃してきて死体を奪っていくという恐ろしい話まで書かれている(熊は、自分の獲物だと思って掘り返しに来たのである)本である。最後は熊は伝説の漁師によって射殺されるのであるが、その間に死亡した村人は8名。この本を読んでヒグマとはなんて恐ろしいヤツだと思い、修習生をつかまえては、この熊害の話をしていたのである。

 ちなみに、作家の吉村昭が、この話を元にして、「羆嵐」という作品を書いている。

 私は渓流釣りがしたかったので、渓流に行きたかったが、渓流は山奥であるので、羆警報が必ずあるのである。そうではあったものの、何回となく渓流には皆で連れ立って行ったのであるが、羆にびびりながらの釣りでは中々釣果はあがらなかった。修習生は誰も釣れず、検察庁の事務官がニジマスを釣り上げたのがせいぜいであった。

 その後、ワカサギの穴釣りや、小樽漁港でのソイ釣りなどにシフトし(特に後半はやたら小樽漁港での釣りが流行った。また別の機会に書くこともあるであろう)、渓流には何回かしか行けなかったが(修習の研修旅行で利尻礼文島でも渓流釣りをした。これもそのうち書いて見たい)、こちらに戻ってくると、羆が出ない渓流というのは本当にいいものだとつくづく思う。

 その一方、最近は羆も減少しているように聞くし、北極の氷がなくなればシロクマも生きていく場所を失うことなども思うと、この地球がいつまで保つのかという漠然とした不安も感じる今日この頃である。

 杞憂の故事を笑えない日がくるかもしれない。

この記事を書いたプロ

中隆志法律事務所 [ホームページ]

弁護士 中隆志

京都府京都市中京区二条通河原町西入榎木町95-1 延寿堂第2ビル5階 [地図]
TEL:075-253-6960

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
解決の事例

1、自賠責では後遺症が非該当とされ、損害保険会社から債務不存在(要するに保険会社側から賠償金の支払義務がないことの確認をする為の裁判)訴訟を提起されたが、判決...

弁護士費用について

 マイベストプロを見られた方は、初回相談料を無料にさせていただいております。 ご予約の際にお問い合わせください。 また、当事務所の3名は、全て法テラス(...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
中隆志 なかたかし

多重債務や犯罪被害、交通事故被害に苦しむ人々を法律によって救いたい(1/3)

 「法律を知らないがために不利益を被っている人々を守りたい」。インタビューの冒頭、弁護士の中隆志さんは淡々とした口調ながらも熱い思いを語ってくれました。京都市営地下鉄「京都市役所前」駅から歩いて約5分のところに中隆志法律事務所を構える中さん...

中隆志プロに相談してみよう!

京都新聞 マイベストプロ

交通事故、離婚、遺言・相続で適切な対応は中隆志法律事務所へ。

会社名 : 中隆志法律事務所
住所 : 京都府京都市中京区二条通河原町西入榎木町95-1 延寿堂第2ビル5階 [地図]
TEL : 075-253-6960

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

075-253-6960

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

中隆志(なかたかし)

中隆志法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
このプロへのみんなの声

自賠責では非該当だったのに、裁判をして12級になりました

 事故後ずっと痛みがありましたが、自賠責の等級認定では「...

M
  • 30代/女性 
  • 参考になった数(1

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
犯罪被害者と弁護士による二次被害

 私は犯罪被害者支援に関わってかれこれ20年になるのだが、時々、被害者あるいは被害者のご遺族から、「今依頼...

読書日記「知ってはいけない 隠された日本支配の構造」

 講談社現代新書。矢部宏治。 表題からするとトンデモ本のように見えるかもしれないが、内容を読むと驚愕の事...

じっと見つめるワン
イメージ

 何を見つめているのか分からないが、小次郎(二代目)である。 虫が飛んでいると捕まえようとするので、狙...

読書日記「日航123便墜落の新事実」

 河出書房新社。青山透子。 少し前に読んだ、「WOLF」という文庫本の中に、日航123便の墜落に関して...

落花生
イメージ

 落花生を収穫したが、思ったよりは実がついていなかった。 まあ、ある程度は取れたし、よしとしようか。...

コラム一覧を見る

人気のコラムTOP5
スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ