コラム

 公開日: 2011-04-22 

訴訟と調停

調停も訴訟も裁判所を利用して行われる裁判手続だが、調停は「話し合い」の手続である。訴訟は話し合いで解決することもあるが、基本的には主張と証拠を出して白黒はっきりつける手続であり、話し合いが出来なければ最後は裁判所が「判決」を出して終わることになる。

 訴訟をする前に調停をしなければならない事件の類型があり、これを調停前置という。離婚などの身分関係の事件や、賃料増額などの事件がこれにあたる。基本的には、「裁判官の手を患わせる前に、もう1回自分たちで裁判所を通じて話し合いをしてみなさいや」ということである(と依頼者には説明している)。

 ただ、基本的に、私は調停は嫌いである。調停は話し合いの手続なのでお互いの意見を交互に聞いて、「相手はこう言っているがどうですか」と調停委員から言われ、場合によれば調停委員から相互の意見を聞いた上で一定の方向性の呈示がされるという手続であるが、出頭しなくとも罰則はないし、話し合いであるから強制力もない。そのため、調停を何回かやったが、結局時間の無駄であったということの方が経験上多いからである。

 待ち時間が時間の無駄でもある。いつ呼ばれるか分からないので待合室にはいなければならない(トイレくらいにはいける)。1人だと本を読んだり、座りながら仮眠を取ることも出来るが、依頼者がいるとそういう訳にもいかない。このスピードが速い時代になんとも悠長な手続ではある。

 時には、訴訟を出しづらい事件で「不可能だ」といくら説得しても本人がどうしてもやって欲しいということと、紹介者の関係でむげに断れない事件で、調停を利用することもあるし、依頼者が調停を出されて内容を見ると、とうてい成り立たない事件なので、ほかの弁護士も同じような目にあっているのかと思うこともある。

 そういう時に、相手方にいい弁護士が就けば、紛争が継続するよりはよいだろうということで、一定の解決で解決が図られることもあるが、相手方が空気の読めない弁護士だと、正面切って戦ってきて(態度だけそうであればよいのだが、書面などからそうでないことは明らかである)、調停を出すよりもよけいに険悪になることがあり、紛争が拡大してしまうことがある。こういう、「紛争拡大屋」みたいな弁護士にはけっして依頼してはいけない。

 ちなみに、偉そうに言ったり、ブログをしている弁護士でもその実は大馬鹿ものであったり、弁護士の中では吐き捨てられるように「あいつアホや」と言われている弁護士がいるが、だいたいそういう弁護士は空気が読めなかったり、事件の筋をはき違えていたり、言っていることとやっていることが違ったりする弁護士であって、そんな弁護士が相手方に就くともう全てが終わりである。そのような弁護士が依頼者によって駆逐されるかというと、依頼者の方はそこまでの情報力を有しておらず、「何となくこの弁護士へんだな。でも弁護士さんだしな」ということで依頼をしてしまうのである。

 かなり話が逸れたが、一定の事件で調停で本来解決出来ない事件が解決することあるし、訴訟をするよりは話し合いで解決する方が依頼者にとってメリットがあることもあるから、調停がまったく無駄などというつもりはないが、訴訟を出して和解が出来る可能性のある事件であれば、調停前置主義の事件でなければ私はたいてい訴訟を勧めている。

 ただ、時間が解決することも時にはあるので、調停で少し時間を置いて、それから訴訟をしたら難しい事件が依頼者、相手方の心がほぐれて和解で落ち着いたというケースもあるので、もちろんいちがいには言えないところがあるが、基本的には私はあまり調停は好きではないのである。
 50歳近くになると弁護士で調停委員をしないかという誘いがあるようである。長いことしたら確か勲章を貰えたような気もする。
 私は調停が嫌いだし、勲章にも全く興味がないので、たぶん歳がいっても調停委員はやらないだろうなと思うのである。

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