コラム

 公開日: 2011-08-11 

家老

江戸時代はそれぞれの大名には家老が居て、「君は一代、家は末代」ということで、藩主が暗愚であったりすると、藩主を「押し込め」て、幕府に訴え出て、新しい藩主を決めるということもしていたようである。もっとも家格の高い家老がその役割を果たしていたとされる。
 忠心から出ている場合、暗愚な君主では藩が潰れるため、これは良い機能を果たすであろう。

 しかし、逆に忠心がなく、自らの権益を守ろうとする場合には、こういう家老は大変困った存在となる。
 すなわち、英邁な君主が出てきて、自分のやりたいような政治をしようとすると、家格に守られて安穏と日々を暮らしている家老たちからすると、実力主義で人材登用をされたり、家老の石高を下げられたりするということは大変困るのである。
 そういう意味では、江戸時代の藩主は多少ぼんやりしている方が家老にとっては安心であったということが出来る。

 幕府の方も江戸時代初期には各地の大名を取りつぶすことに懸命であったが、浪人が数多く出てその対策をしなかったが為に、由井正雪の乱が起こり、その態度を改めている。
 末期養子の制度を取り入れ、本当は大名が死んでいるような場合にも、家老たちがタテマエ上「病気」ということにして、藩主の遺言であるとして跡継ぎを立てたりしたこともあったようである。しかし、藩主が死んでいたり判断能力が落ちているような場合には、家老たちによって都合のいい藩主が立てられることも多かったのではなかろうか。

 最も高い家格の家老は血統によってその地位にいるに過ぎない。江戸時代に各地に大名が封ぜられた時点で、その各藩にとって最も功績が高かった人物を家老としたのであり、先祖の功績によってそれを代々受け継いでいるに過ぎない。
 こうした既得権者が、既得権を侵害される時には抵抗をするという図式は今も昔も変わらないところがあるだろう。

 また、最近経済的に二極化が進んでいるといわれているが、この家老のように、元々財産がある者はそれを利用として安穏と出来、収入が低い人は経済力がないが為に才能があっても浮かび上がれないという状況は、さながら江戸時代のようである。
幕末が来て身分に関係なく昇進する筋道が立てられたが、経済的な二極化はより根本的な問題をはらんでいるように思われる。

 ロースクールに行くにも多額の費用がかかるということであり、それなりの子弟でなければ司法試験を受けることが難しくなっているように思う。お金に苦労せず安穏として育てられたお坊ちゃんお嬢ちゃんが、時には社会の裏の裏まで経験させられる厳しい法律家の世界で対応できるとも思えない。
 最近、ビジネスロイヤー志向が強まっているようであるが、どろどろした事件を引き受けることがお坊ちゃんお嬢ちゃんでは出来ないからという一面もあるように思われる。

 司馬遼太郎は、相続について、オランダの制度を取り入れるように言っていたと司馬の本ではない本で読んだ。オランダでは、不動産は一代限りでしか所有できず、相続の対象とならないということである(正確に確認はしていない)。
 すなわち、親が山ほど不動産を持っていて、親が死んだ後はその賃料収入で安穏と暮らしていくというようなことは出来ないということなのである。
 日本も経済を活性化させたり、能力のあるが経済的な問題で学校に行けないというような人がその力量を発揮できるような抜本的な制度を作らなければ国際社会で生きていけないであろう。
血統だけではだめなのである。

この記事を書いたプロ

中隆志法律事務所 [ホームページ]

弁護士 中隆志

京都府京都市中京区二条通河原町西入榎木町95-1 延寿堂第2ビル5階 [地図]
TEL:075-253-6960

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
解決の事例

1、自賠責では後遺症が非該当とされ、損害保険会社から債務不存在(要するに保険会社側から賠償金の支払義務がないことの確認をする為の裁判)訴訟を提起されたが、判決...

弁護士費用について

 マイベストプロを見られた方は、初回相談料を無料にさせていただいております。 ご予約の際にお問い合わせください。 また、当事務所の3名は、全て法テラス(...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
中隆志 なかたかし

多重債務や犯罪被害、交通事故被害に苦しむ人々を法律によって救いたい(1/3)

 「法律を知らないがために不利益を被っている人々を守りたい」。インタビューの冒頭、弁護士の中隆志さんは淡々とした口調ながらも熱い思いを語ってくれました。京都市営地下鉄「京都市役所前」駅から歩いて約5分のところに中隆志法律事務所を構える中さん...

中隆志プロに相談してみよう!

京都新聞 マイベストプロ

交通事故、離婚、遺言・相続で適切な対応は中隆志法律事務所へ。

会社名 : 中隆志法律事務所
住所 : 京都府京都市中京区二条通河原町西入榎木町95-1 延寿堂第2ビル5階 [地図]
TEL : 075-253-6960

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

075-253-6960

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

中隆志(なかたかし)

中隆志法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
このプロへのみんなの声

お金もうけではなく、依頼者のための弁護士だと思いました。

 一審判決が出たときに、丁寧な説明をしていただいて、控訴...

Y
  • 50代/男性 
  • 参考になった数(1

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
インフルエンザの予防接種

 今年も受けたのである。 40歳を超えてから、受けないその冬は必ずかかるというジンクスがあるためである。...

新しいオモチャと寝るワン
イメージ

 新しいオモチャと寝ている小次郎(二代目)である。 初代小次郎は、オモチャを買ってあげても、気に入らない...

水あれこれ

 売っている水だが、当然のことながらみなそれぞれ味が違う。 私は「いろはす」「六甲の水」も飲むことがある...

真田紐

 真田幸村が考案したという伝承がある真田紐であるが、現在は実用に使われることが少なくなってしまったため、作...

鞄の取り違え予防対策

 鞄の取り違えを一度されたこともあるし、人と同じものを持つのは嫌いなので、まず取り違え予防対策として、人と...

コラム一覧を見る

人気のコラムTOP5
スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ