コラム

 公開日: 2012-05-30 

武田勝頼2

 長篠の敗戦後、武田不敗伝説は消え去り(実は信玄は何度か村上義清などに負けているのだが)、高天神城も落城した。そして1582年、木曾衆が裏切り、穴山梅雪も裏切り、織田・徳川の侵攻の前に常勝軍団であったはずの武田軍はもろくも崩れ去る。

 侵攻の前に兵はみな逃げ去り、1万人以上いた武田の兵のうち、勝頼に最後まで殉じたのはわずか10数名であった。
 勝頼に真田昌幸は、真田の城である上州岩櫃城は天然の要害であり、兵糧の備蓄もあり、上杉景勝とも連携がとりやすい(当時武田と上杉は同盟していた。形の上では上杉景勝が降伏した形)ので、そちらに落ち延びるように説得したが、甲斐出身でない真田昌幸を信用しない武田家累代の家老達の発言や、小山田信茂が、北条と連携して郡内岩殿城に落ち延びれば勝機はあるという説得をしたが為に勝頼は小山田信茂の城に行くことを決定するのである。
 これが勝頼の運命を決めた。

 1人だけ武田の滅亡に際して徹底抗戦したのは仁科盛信である。彼は武田信玄の五男(確か)で、仁科家を継いでいた。
 南信濃の高遠城に籠もり、城兵ことごとく抗戦し、上臈もなぎなたを取り戦い、武田武士の意地を見せつけたのである。

 勝頼は小山田信茂の郡内岩殿城に行こうとするが、小山田信茂は巧みに自らの人質を取り返すや、柵を設けて勝頼一行に対し鉄砲をうちかけてきた。彼もまた武田を裏切ったのである。
 戦後、信茂は織田信長により斬首されているが、新田次郎は武田家滅亡の際のこの現象を「人間のなだれ現象」といい、なぜこのようなことになったのかについて考察しているが、それは(3)の考察に譲りたい。

 勝頼を追う織田軍の追撃は厳しく、滝川一益の手のものにより勝頼は天目山手前の田野にて自刃し、首を取られ、ここに武田は滅んだのである。16歳の武田信勝も、自刃して首を授けることとなった。享年37歳。

 勝頼が酷評されているのは、長篠の戦いのほかに、北条との同盟を破棄してまで、上杉景勝と結んだ外交策の失策、武田家滅亡のあまりにもあっけない幕切れのためであろう。
 しかし、これらは本当に勝頼だけが責任を負うべきことかは、また別物であり、新田次郎はいい観点で武田勝頼を描いているといえる。

この記事を書いたプロ

中隆志法律事務所 [ホームページ]

弁護士 中隆志

京都府京都市中京区二条通河原町西入榎木町95-1 延寿堂第2ビル5階 [地図]
TEL:075-253-6960

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
解決の事例

1、自賠責では後遺症が非該当とされ、損害保険会社から債務不存在(要するに保険会社側から賠償金の支払義務がないことの確認をする為の裁判)訴訟を提起されたが、判決...

弁護士費用について

 マイベストプロを見られた方は、初回相談料を無料にさせていただいております。 ご予約の際にお問い合わせください。 また、当事務所の3名は、全て法テラス(...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
中隆志 なかたかし

多重債務や犯罪被害、交通事故被害に苦しむ人々を法律によって救いたい(1/3)

 「法律を知らないがために不利益を被っている人々を守りたい」。インタビューの冒頭、弁護士の中隆志さんは淡々とした口調ながらも熱い思いを語ってくれました。京都市営地下鉄「京都市役所前」駅から歩いて約5分のところに中隆志法律事務所を構える中さん...

中隆志プロに相談してみよう!

京都新聞 マイベストプロ

交通事故、離婚、遺言・相続で適切な対応は中隆志法律事務所へ。

会社名 : 中隆志法律事務所
住所 : 京都府京都市中京区二条通河原町西入榎木町95-1 延寿堂第2ビル5階 [地図]
TEL : 075-253-6960

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

075-253-6960

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

中隆志(なかたかし)

中隆志法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
このプロへのみんなの声

お金もうけではなく、依頼者のための弁護士だと思いました。

 一審判決が出たときに、丁寧な説明をしていただいて、控訴...

Y
  • 50代/男性 
  • 参考になった数(1

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
読書日記「日本海 その深層で起こっていること」

 講談社ブルーバックス。蒲生俊敬。 日本海は他の海と海峡でつながっているが、海峡が浅いため、水の流入が...

犯罪被害者と弁護士による二次被害

 私は犯罪被害者支援に関わってかれこれ20年になるのだが、時々、被害者あるいは被害者のご遺族から、「今依頼...

読書日記「知ってはいけない 隠された日本支配の構造」

 講談社現代新書。矢部宏治。 表題からするとトンデモ本のように見えるかもしれないが、内容を読むと驚愕の事...

じっと見つめるワン
イメージ

 何を見つめているのか分からないが、小次郎(二代目)である。 虫が飛んでいると捕まえようとするので、狙...

読書日記「日航123便墜落の新事実」

 河出書房新社。青山透子。 少し前に読んだ、「WOLF」という文庫本の中に、日航123便の墜落に関して...

コラム一覧を見る

人気のコラムTOP5
スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ