コラム

 公開日: 2012-08-29 

酒を飲んで法廷に来る被告人

 刑事事件で、執行猶予か有罪かぎりぎりの事件があった。
 午前に事件を引き受け、午後一番で母親と会い、費用を用立ててもらって、その前に検察官と電話で話をして了承を取り付けて、保釈申請をして、夕方には保釈で出られたということで、本人は軽く見ていたのだが、交通事故の事件で被害感情は重く、飲酒運転ということもあり、結果がどうなるかは分からない状況であった。早朝から被害者の親族に謝罪をするため、遠方まで行き話をさせて貰ったが、ものすごく怒っておられた。

 保釈されている被告人が実刑判決を受けると保釈の効力が失われて収監される為、あらかじめ検察官には実刑であることを知らしており、収監のために検察事務官が法廷に来ているので、そうしたぎりぎりの事案では、法廷に検察事務官とおぼしき人を探すことから弁護人の仕事は始まる。
 この事件では、法廷に入ると、背広姿の男性が二人座っていたので、事務官であるのかないのかとヒヤヒヤしていた。
 

 事前に実刑もあり得るという話をしていた為、本人が法廷に来た時には顔が真っ赤でものすごく酒臭い。私は法廷が始まる前に被告人に怒ったが、「これで実刑になったら先生を頼んだ意味がないやんか。酒も飲みたくなりますわ」と逆にキレてくる始末。これに対してまた私が叱りつけた上で法廷が始まった。私が刑事事件を起こしたのではなく、自分が起こしたのである。
 少し前に読売新聞を読んでいると、受刑者は反省することなく、「自分は運が悪かった」という気持ちでいる人間がほとんどで、被害者のことや事件に対して真摯に反省するということはないという刑務官の話が載っていた。
 私も相当数の刑事事件を手がけてきたが、これは真実を衝いている報道であろう。

 結果的には執行猶予がついたし、このような被告人の為にも最大限の弁護活動を行ったのであるが、それが仕事とはいえ弁護士は因果な商売ではある。

この記事を書いたプロ

中隆志法律事務所 [ホームページ]

弁護士 中隆志

京都府京都市中京区二条通河原町西入榎木町95-1 延寿堂第2ビル5階 [地図]
TEL:075-253-6960

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
解決の事例

1、自賠責では後遺症が非該当とされ、損害保険会社から債務不存在(要するに保険会社側から賠償金の支払義務がないことの確認をする為の裁判)訴訟を提起されたが、判決...

弁護士費用について

 マイベストプロを見られた方は、初回相談料を無料にさせていただいております。 ご予約の際にお問い合わせください。 また、当事務所の3名は、全て法テラス(...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
中隆志 なかたかし

多重債務や犯罪被害、交通事故被害に苦しむ人々を法律によって救いたい(1/3)

 「法律を知らないがために不利益を被っている人々を守りたい」。インタビューの冒頭、弁護士の中隆志さんは淡々とした口調ながらも熱い思いを語ってくれました。京都市営地下鉄「京都市役所前」駅から歩いて約5分のところに中隆志法律事務所を構える中さん...

中隆志プロに相談してみよう!

京都新聞 マイベストプロ

交通事故、離婚、遺言・相続で適切な対応は中隆志法律事務所へ。

会社名 : 中隆志法律事務所
住所 : 京都府京都市中京区二条通河原町西入榎木町95-1 延寿堂第2ビル5階 [地図]
TEL : 075-253-6960

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

075-253-6960

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

中隆志(なかたかし)

中隆志法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
このプロへのみんなの声

お金もうけではなく、依頼者のための弁護士だと思いました。

 一審判決が出たときに、丁寧な説明をしていただいて、控訴...

Y
  • 50代/男性 
  • 参考になった数(1

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
手帳の交換の時期

 私が使っている大阪弁護士会協同組合が出している訟廷日誌(合冊版)は、1月末以降が書く欄がかなり小さくなる...

小次郎パンチだワン
イメージ

 年末年始の休みでずっと気を張っているせいか、疲れている小次郎(二代目)である。 今年も小次郎(二代目...

加除式の本

 ボス弁の事務所には大量に加除式の本があり、その中に条文ごとに裁判例が掲載されている本があった。以前は判例...

読書日記1月10日

「家康研究の最前線」洋泉社。平野明夫編集。 嫌いではあるが、生き方としては家康のように生きるのが正しいで...

読書日記1月6日

「剣豪夜話」文芸春秋。津本陽。 時代・歴史小説家の筆者が自身の剣道に関する体験を語りつつ、過去の剣豪につ...

コラム一覧を見る

人気のコラムTOP5
スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ