コラム

 公開日: 2010-04-23 

テレビドラマの中の弁護士と実際の弁護士


テレビドラマの弁護士たちの事件では、刑事事件が取り上げられることが主なようです。いつも刑事事件では一見有罪だけれど、実は無罪というパターンが多いようですね。司法修習生が弁護士の代わりに証人に会いに行って説得をしたりしていたケースもかつて見たような記憶があります。
 しかし、実際の事件では、無罪が争われるケースはほとんどありませんし、無罪を争う中でも、後になって、「先生、すいません。実はやってました。」とか、判決が出たあと、「先生、やっぱり通りませんね」などというケースも多くあります。
 さらに、修習生が弁護士に無断で証人に会いにいくなどあり得ないですし、そんなことをしたら修習生は懲戒になって資格を失ってしまうこともあり得ます。
 また、通常の弁護士は、複数の事件を抱えていて、一つの事件にかかり切りというような場合はほとんどありません。
 複数の事件が同時進行しているのが通常です。これは、事件をするにしても資料を収集するのに時間がかかったり(たとえば遺産分割をするための調停を出すにしても、戸籍を取り寄せるだけで相続人が多いと一か月以上かかったりします)、依頼人の方の資料の整理にも時間がかかったりするので、一つの事件だけを受けていても時間が余って仕方がないということも原因ですし、そもそも裁判所が開かれる日程にも限界があるので、裁判は先に入ることが多いため、その間他のことが出来るという状態にもあるからです。
 さらに、弁護士だって霞を食べて生きている訳ではないので、経営もしないといけません。勤務弁護士の場合でも、事務所から給料をもらっているので、経営している弁護士は売上を上げないといきませんが、一件の事件だけをしていても、弁護士は経営が出来ないのです。
 弁護士一人、事務員一人でも、事務所を賃貸していれば事務所の賃料がかかります。裁判をするのに調べ物をすることも多いのと、記録を置くスペース、打ち合わせをするスペース、事務員と弁護士の机のスペースを考えると、それなりの広さの事務所を借りる必要が出てきます。
 また、事務員の給料もかかります。さらに、弁護士はどこかの弁護士会に所属する必要がありますが、弁護士会は別段国からお金をもらっているわけでもなく、基本的には会員の会費が大きな収入源となっています。ちなみに、京都では月額5万円弱の会費が必要です。さらに、医師のように保険制度があるわけでもないので、依頼者からお金をもらわなければ、どこからもお金が入って来ないことにもなります。弁護士だって自分の生活がありますし、税金だって支払う必要があります。
 よく、弁護士費用が高いという声が聞かれます。
 紛争が終わってしまうと、「これで当たり前だった」と思う人もいて、当たり前の状態になっただけで、なんで費用を支払わないといけないのだという気持ちになる人も多いようです。実際には、弁護士が努力をして勝訴判決を取ったからこその結果で、本人訴訟であれば敗訴していた可能性も高かったり、本人は裁判に仕事を休んでいかなくて済んだにも関わらず、そのような気持ちになられると、つらいものがあります。医療行為と違って、体が苦しかったりすることがないためなのかもしれません。
 さらに、弁護士の仕事は、依頼者から事情を聞き取り、これを書面にまとめ、裁判所に行き、調べ物をし…と、依頼人から見えない部分の仕事が多いことも影響しているのかも分かりません。
 弁護士としては、紛争を解決するために相当苦労して仕事をしているのですが、紛争が解決したとたん、弁護士が仕事をしたことについて忘れてしまうようなことを言われると、つらいものがあります。

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