コラム

 公開日: 2010-09-10 

調べ物をするときは複数の本を読むべし


不動産の仮差押をして、供託金を決定された時に、異様にその金額が高かったことがあった。仮差押というのは、「仮に」相手方の財産を差し押さえる手続である。
 裁判を出してもその間に裁判の相手方が財産を差し押さえられては困るということで名義を移転したり、売却したりすることがある。それを防ぐために、正式に裁判を出す前に、相手の財産を「仮に」差し押さえて名義移転などが出来ないようにするための手続である。ただし、あくまで仮のため、それなりの資料が揃っていれば、相手の言い分を聞かないで裁判所は決定を出してしまう。しかし、相手からすれば言い分をいう機会もないために後の裁判で相手方が勝つこともあるため、その場合には、相手方に損害が出ることがあり得る。そのために担保を積む必要があり、これを供託金というのである。
 事件にもよるが、請求金額か差し押さえる目的物の価格の1割~4割程度で決められている。

 ところが、ある事件で供託金がもの凄く高いことがあった。裁判所に抗議したが、裁判官は、「既に決定したことです。教科書にもそう書いてあるでしょ。」という回答でにべもない。ただ、私の実務家の経験上、明らかに高額にすぎた。
 そこで、私は供託金の決定金額が高すぎる場合に高等裁判所に不服申立が出来ないかと考えて調べだした。事務所にあった本では「出来ない」と書いてあった。
 しかし、供託金の決定も一つの裁判なのであるから、裁判に対して不服申立出来ないのはおかしいと考えた私は、弁護士会で他の本を探し、本屋でも他の本を買い込んできた。そうすると、2冊の本では「出来る」と書いてあった。
 本によって見解が異なるのである。私は私の考えと一致する書籍の方を信じて不服申立をした。
 そうしたところ、高等裁判所で供託金が大幅に減額されるという決定が出たのである。

 それ以来、その裁判官は何となく私をはばかるようになったが、ここで重要なことは、調べ物をする時は同じ論点について少なくとも2冊、出来れば何冊もの本で調べるべきであるということである。私が最初の本で諦めて終わっていたら、この逆転判断は取れなかったのである。本も間違っていることがある。この人に本が書けるのかいなという人が執筆者になっている本も数少なからずある。複数の本にあたるべきである。

 そして本に書いていないことで迷った場合には、原理原則に立ち戻り考えて進んでみることである。

この記事を書いたプロ

中隆志法律事務所 [ホームページ]

弁護士 中隆志

京都府京都市中京区二条通河原町西入榎木町95-1 延寿堂第2ビル5階 [地図]
TEL:075-253-6960

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
解決の事例

1、自賠責では後遺症が非該当とされ、損害保険会社から債務不存在(要するに保険会社側から賠償金の支払義務がないことの確認をする為の裁判)訴訟を提起されたが、判決...

弁護士費用について

 マイベストプロを見られた方は、初回相談料を無料にさせていただいております。 ご予約の際にお問い合わせください。 また、当事務所の3名は、全て法テラス(...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
中隆志 なかたかし

多重債務や犯罪被害、交通事故被害に苦しむ人々を法律によって救いたい(1/3)

 「法律を知らないがために不利益を被っている人々を守りたい」。インタビューの冒頭、弁護士の中隆志さんは淡々とした口調ながらも熱い思いを語ってくれました。京都市営地下鉄「京都市役所前」駅から歩いて約5分のところに中隆志法律事務所を構える中さん...

中隆志プロに相談してみよう!

京都新聞 マイベストプロ

交通事故、離婚、遺言・相続で適切な対応は中隆志法律事務所へ。

会社名 : 中隆志法律事務所
住所 : 京都府京都市中京区二条通河原町西入榎木町95-1 延寿堂第2ビル5階 [地図]
TEL : 075-253-6960

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

075-253-6960

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

中隆志(なかたかし)

中隆志法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
このプロへのみんなの声

内縁の妻では、相続権はないから、損害賠償は出来ないという弁護士さんもいたのに・・・

 内縁の夫が交通事故で死亡し、損害賠償は出来ないのかとあ...

T
  • 60代以上/女性 
  • 参考になった数(1

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
インフルエンザの予防接種

 今年も受けたのである。 40歳を超えてから、受けないその冬は必ずかかるというジンクスがあるためである。...

新しいオモチャと寝るワン
イメージ

 新しいオモチャと寝ている小次郎(二代目)である。 初代小次郎は、オモチャを買ってあげても、気に入らない...

水あれこれ

 売っている水だが、当然のことながらみなそれぞれ味が違う。 私は「いろはす」「六甲の水」も飲むことがある...

真田紐

 真田幸村が考案したという伝承がある真田紐であるが、現在は実用に使われることが少なくなってしまったため、作...

鞄の取り違え予防対策

 鞄の取り違えを一度されたこともあるし、人と同じものを持つのは嫌いなので、まず取り違え予防対策として、人と...

コラム一覧を見る

人気のコラムTOP5
スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ