コラム

 公開日: 2012-02-06  最終更新日: 2014-07-03

債権(契約)の一生 その1 ー民法のアウトラインー

債権(契約)の一生 その1
 昨今は、インターネットの普及や商品配達・決済の手段が充実するなどの事情もあって、個人の事業者や一般市民がさまざまな取引活動を行なう場面が増えてきました。たとえば、実店舗や倉庫がなくても手軽にものを売り買いすることができるようになっています。また、このような状況も反映して、取引活動についての最も基本的なルールを定める民法(債権法)について約120年ぶりに抜本的に改正する動きも進んでいます。

 そこで、個人の事業者や一般市民の方にかかわりの深い、契約を中心とする債権について考えてゆきたいと思います。とりわけ、取引の各場面における法的問題や、契約書作成のポイント、電子取引の特殊性などを取り上げたいと思います。今回は、具体的な契約のはなしに入る前提として、ごく大まかですが、民法のアウトラインに触れます。[1]


【民法の法社会モデル】
 民法は私法の一般法といわれています。人の経済活動と法とのかかわりについて、民法が想定する最も単純な場面は3つあります。1つは「人とその所有するもの(物)との関係」。2つは「人と人との取引の関係」。3つは「人と、人や物に対する侵害者との関係」です。このうち1番目は所有権などのことで物権といいます。残る2つは債権です。[2]

【債権とは】
 債権は特定の人に特定の行為(たとえばお金を払ってもらったり、商品を引き渡してもらうという行為)をさせる権利です。これは、最終的には国家の力によって強制できるもので、古くは人と人とをつなぐ法の鎖といわれていました。
 原始社会は自給自足からはじまり、しだいに余った生産物を交換するようになりましたので、当初は人の物に対する関係(物権)を保護することが重要でした。ところが「お金」が発明されて普及すると(貨幣経済)、お金の価値に置き換えることで、さまざまな取引活動が可能となり、債権が発達し重要な役割を果たすようになります。[3]

【債権の発生原因】
 債権は上記2番目の「人と人との取引の関係」によって発生するのが典型です。取引によって契約が成立すると、両当事者の間に、相手に一定の行為を求めることができる権利が発生し(債権)、その裏返しに相手方は義務(債務)を負うことになるからです。
 また、債権は上記3番目の「人と、人や物に対する侵害者との関係」でも発生します。侵害者が人を傷つけたり他人の物を壊したときは、被害者は侵害者と見ず知らずの関係であっても、侵害者に対して損害の賠償を請求できるのです(不法行為)[4]。


[1]全体的な参考文献は最後に紹介する予定ですが、民法(債権法)について最近の問題を踏まえてわかりやすく書かれたものとして次の1冊を挙げておきます。
 内田貴「民法改正」(ちくま新書、2011年)
[2]物権については民法第2編に、債権については民法第3編に、主な規定があります。
[3]我妻栄「近代法における債権の優越的地位」(有斐閣、1953年)
[4]民法709条 など


当事務所では契約書作成等のご相談を承ります。お気軽にお問い合わせください。
 https://mbp-kyoto.com/office-shijo/inquiry/personal/

【2012.3.15 追記】このたびホームページをリニューアルいたしました。どうぞご覧下さい。
 http://www.office-shijo.jp/

この記事を書いたプロ

行政書士 四条烏丸法務事務所 [ホームページ]

行政書士 田島充

京都府京都市下京区室町通綾小路上る鶏鉾町480番地 オフィス-ワン四条烏丸8階 [地図]
TEL:075-741-8178

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

4

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
サービス・商品
四条烏丸法務事務所・東京ミーティングルームがある東京銀行協会ビル

このたび、当事務所の東京ミーティングルームを東京銀行協会ビル(東京駅丸の内北口すぐ)に開設しました。東京での打ち合わせ・面談はこちらで対応いたします(要予約...

 
このプロの紹介記事
四条烏丸法律事務所の代表、行政書士の田島充さん

医療法人設立から身近な悩みまで 法と行政サービスで解決します(1/3)

 阪急電鉄・烏丸駅すぐ近くに拠点を構える行政書士 四条烏丸法務事務所。その代表、田島充さんは日々さまざまな依頼に対応していますが、中でも医療法人設立に関してはその手腕をさらに発揮しています。「医療法人設立のメリットは、医師自身の財産と法人...

田島充プロに相談してみよう!

京都新聞 マイベストプロ

総合的・多角的な法務サービスを提供します!

事務所名 : 行政書士 四条烏丸法務事務所
住所 : 京都府京都市下京区室町通綾小路上る鶏鉾町480番地 オフィス-ワン四条烏丸8階 [地図]
TEL : 075-741-8178

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

075-741-8178

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

田島充(たじまみつる)

行政書士 四条烏丸法務事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
「持分なし医療法人」への移行をご存知ですか?
イメージ

 「持分あり医療法人」とは,出資者が出資した割合に応じてその法人の資産を払い戻すことができる法人を言い...

[ 医療法人 ]

ダイヤモンドに光をあてる
ダイヤモンドに光をあてる

 弁護人は、ダイヤモンドのすべての面がよくみえるように、光の下でこれをゆっくりとまわして見せる宝石商ではあ...

[ 司法と行政 ]

「貸座敷」京都
日本辺界略図

 まだ学生の頃、ときどき道端を掃除している姿を見かけるお婆さんに会釈すると、「お国はどちらですか?」と尋...

[ 雑感 ]

目標の方角に斃(たお)れよ
目標の方角に斃(たお)れよ

 坂本龍馬(竜馬)が設立し、のちに「海援隊」に発展した「亀山社中」という組織があります。       ...

[ 医療法人 ]

司法サービスだけでは足りない
司法サービスだけでは足りない

 たとえば、いまここにサラ金など多重債務で苦しむ人がいて、その人を救済することを考えましょう。 一般的に...

[ 司法と行政 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ