コラム

 公開日: 2012-02-17  最終更新日: 2014-07-03

「下水道使用料滞納者の水道を止められるか」との質問について

「下水道使用料滞納者の水道を止められるか」との質問について
 以前のコラムで「上下水道料金」についてとりあげたところ、このような質問を複数いただきました。そこで、「債権(契約)の一生」の連載途中ではありますが、このお問い合わせについて順に考えてみたいと思います。[1]


【ケース1】
 まず、「水道料金」と「下水道使用料」が別々に請求されている場合で、「水道料金」に未納はなく、「下水道使用料」のみ未払いとなっているケースです。

 このケースでは、「水道料金」に未納はなく、そもそも給水停止の要件を充たしませんので、水道を止めることはできません。[2]


【ケース2】
 次に、「上下水道料金」として「水道料金」と「下水道使用料」を合算して請求している場合に、その「上下水道料金」が未納となったケースです。

 このケースでは、未納となった「上下水道料金」のなかには「水道料金」が含まれていますので、結局「水道料金」が未納ということになり給水停止が可能です。[3]
 給水を停止すると、これを解除してもらうために未納の料金が支払われるわけですが、このケースでは合算された「上下水道料金」として請求書・納付書(支払用紙)が作成されていますので、おそらくは未納料金中に含まれる「下水道使用料」分も一緒に支払われることになると思われます。そうすると、結果的には、給水の停止によって「下水道使用料」も回収されることになりますが、このこと自体は問題ありません。

 ただし、給水停止を解除してもらうために、未納料金の全額ではなく、そのなかの「水道料金」のみが支払われた場合は、たとえ残りの「下水道使用料」分の料金は未納のままであっても、給水停止を解除する必要があります。
 普段は「上下水道料金」として合算していても、本来は「水道料金」と「下水道使用料」は別の債権(払う側からみれば別の債務)です[4]。この場合、料金を支払う側(債務者)は、支払う時に、自分が払う料金はどの債務の分として払うのかを指定することができます[5][6]。その結果、「下水道使用料」のみが未払いである【ケース1】と同じ状態になるのです。
 

[1]「上下水道料金」について扱ったコラムは次のとおりです。
 水道料金の「ひみつ」その1 http://mbp-kyoto.com/office-shijo/column/4244/
 水道料金の「ひみつ」その2 http://mbp-kyoto.com/office-shijo/column/4247/
 債権を、そろえる! http://mbp-kyoto.com/office-shijo/column/4277/
[2]水道法15条3項,民法533条。
 なお、水道法15条3項では「その他正当な理由があるとき」にも給水停止ができると規定します。この3項は給水契約の当事者間において給水義務の履行を拒むことができる場合の規定であることから、ここでの「正当な理由」は同じ3項に例示されている水道料金の不払いや給水装置の検査拒否といった、水道事業を遂行する上で固有の問題に限定されると考えられています(日本水道協会「新訂 水道法逐条解説」2003年 283頁、岡山地裁昭和44年5月29日判決 など参照)。ですから、下水道使用料の未納は「正当な理由」にあたらないといえます。
 また、理論的には「給水停止」ならぬ「下水道の使用停止」も観念できなくはありませんが、現実的には困難であり行なわれていないことは上記『水道料金の「ひみつ」その2』で述べました。
[3]水道法15条3項,民法533条。給水停止には慎重な判断が求められることにつき、上記『水道料金の「ひみつ」その2』の注[5]を参照
[4]上記『水道料金の「ひみつ」その1』を参照
[5]民法488条1項。なお、同条2項及び489条2号なども参照
[6]実務的には、合算された料金の一部分だけを収納することはイレギュラーな処理となるので、自治体側が対応しにくいことが予想されます。しかし、少なくとも「水道料金」の金額の提供がある場合に、「上下水道料金」全額に満たないことを理由に収納を拒むことは妥当ではなく、自治体側に不利益になると考えられます(民法492条,493条,413条参照)。


 なお、コラムについてのご質問・ご要望をお待ちしています。何かございましたらお気軽にお問い合わせください。
 https://mbp-kyoto.com/office-shijo/inquiry/personal/


【2012.3.15 追記】このたびホームページをリニューアルいたしました。どうぞご覧下さい。
 http://www.office-shijo.jp/

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行政書士 田島充

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