コラム

 公開日: 2016-04-23 

【家事事件等】調停と訴訟の違いについて

春の陽気が近づいてきたことを
実感する今日この頃ですが、
皆様いかがお過ごしでしょうか。

今日は「訴訟と調停の違い」について
コラムを書きたいと思います。

私は、平成13年10月に弁護士に登録した後、
長年にわたって弁護士として家事調停や民事調停にかかわり、
また、平成26年10月からは家事調停官(非常勤裁判官)として
家事調停にかかわっております。

その中で、一般の方からが
「調停は訴訟のようなものだ」
という意識を持たれていることを、痛烈に感じます。

しかし、実際には、
調停は、訴訟とはまったく別個の手続きであり、
むしろ交渉に近い手続きな のです。

早速、離婚の事例を例にとり、
調停と訴訟の違いを解説したいと思います。

【事例】
A男とB女は、最近まで平和に暮らしていましたが、
ある日、B女は別居をはじめ、A男に離婚と慰謝料300万円の
支払いを求めてきました。
その理由として、B女は、A男がほかの人と浮気したと主張しております。

この場合、B女がA男に対し行うことが考えられる方法は
(1)離婚交渉
(2)離婚調停
(3)離婚訴訟
の3つが挙げられます
(なお、現行法上、(2)離婚調停を経ないと(3)離婚訴訟は提訴できません)

(1)の離婚交渉は、B女とA男が直接話し合いの機会を持って
離婚するかどうか、および慰謝料の額・支払方法を協議するものです。
A男とB女の同意がなければ、離婚は成立せず、また慰謝料も取得することが
できません。

他方、(3)の離婚訴訟は、
裁判所が、B女の主張する浮気の事実などがあるかどうかにつき、証拠に基づいて判断し、
そのうえで、離婚を認めるか、および慰謝料の有無及び額を
判決によって一方的に示し実現します。
(もっとも、訴訟の際に和解を行う場合もあります)

そして、(2)の離婚調停は、
裁判所で、調停委員および時には調停官を交え、
B女とA男が話し合いの機会を持って
離婚するかどうか、および慰謝料の額・支払方法を協議する ものです。
A男とB女の同意がなければ、離婚は成立せず、また慰謝料も取得することが
できません。

ですので、(2)の離婚調停は
(3)の離婚訴訟の手続きと
全然異なることがわかると思います。
むしろ、(1)の離婚交渉に近いのです。

また、(2)の離婚調停においては、調停委員会は、
事実の有無について判断いたしません。
ですので、上記の事案だと、浮気の事実の有無などは、
判断されないのです。
もちろん、調停委員や調停官が事実の有無につき感想・見解を述べることは
ありますが、
あくまで感想・見解にすぎず、
裁判所が示した判断ではありません。

(2)離婚調停を、このようにとらえた場合、交渉との共通点が多いですので、
離婚調停の当事者にとって必要な技術
そして、弁護士として有効な技術は、
交渉の技術、ということになると思います。

交渉の技術には様々なものがありますが、
そのうちの一つに
「交渉(調停)不成立の場合、どれだけのデメリットがあるか」
「交渉(調停)に代わる手段を用いた場合、どれだけのメリットがあるか」
を、常に考えること
が挙げられます。

上記の例でいうと、離婚調停の場において、A男が、
浮気の事実は否認しつつ、早期解決の見地から30万円であれば
支払う、と述べていたとします。
(あるいは調停委員からこの解決方法を勧められたとします)

B女は、この解決方法を断り、調停を不成立にした場合、
離婚訴訟を提起するしか、離婚する方法はなくなります。
これは大きなデメリットです。

ただ、訴訟において
(1)浮気の事実を立証できるだけの証拠がそろっており、
(2)相手方に十分な慰謝料の支払能力があるのであれば、
交渉・調停に代わる手段として
離婚訴訟を提起し、150万円~300万円の慰謝料の判決を得て
慰謝料の支払いが実現できるという
メリットを得ることができます。

ですので、調停を成立させるほうが損ですので、
調停を不成立にする方法をとることになります。

逆に
(1)浮気の事実を立証できるだけの証拠がそろっておらず、
あるいは
(2)相手方に30万円以上の支払いができるだけの支払い能力がない場合は
離婚訴訟を提起しても、
30万円を超える金銭の支払いを受けることはできないと思われますので、
交渉・調停に代わる手段として訴訟を提起することにメリットはなく、
調停を成立させるほうが得、ということになります。

もちろん、家事調停は、
円満な家庭・親族関係の実現のためにありますので、
法律のみならず家族間の今後の生活や当事者の感情なども重視して進めるべきであり
このような、メリット・デメリットのみで
考えてはいけない面もあります。

ただ、
「家事調停は訴訟と同じようななものだから
絶対にこちらの主張を調停委員や相手に認めさせるべきだ」
「家事調停は訴訟みたいなものだから、
調停委員から言われたことに従わなければならない」
などと考える必要は、まったくありません。

調停に応じるメリット・デメリットを十分検討し、
それらを踏まえ、調停での解決方法を考えていくのも
十分ありえる方法なのです。

当事務所は、
「離婚したいけど、家事調停を申し立てるか迷っている」
「家事調停を申し立てたが今後どうすればいいか悩んでいる」
など、
家事調停・民事調停に関する法律相談をお待ちしております。

長年の経験を生かし、
相談者様のメリットを重視した
調停の進め方をアドバイスし、
場合によっては、ともに調停を行っていきたいと考えております。

この記事を書いたプロ

オギ法律事務所 [ホームページ]

弁護士 荻原卓司

京都府京都市伏見区竹田久保町21-7 ビル・マルジョウ3F [地図]
TEL:075-646-1800

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