コラム

 公開日: 2015-10-08  最終更新日: 2016-09-29

洋服、背広そしてスーツのパーツ


背広の語源

今一般にスーツと呼ばれている「背広」と言う言葉の語源としては諸説あります。

イギリスロンドンのSavile Row(セビルロー)は有名なテーラーが多く店を出しているので、スーツのことを「背広」と言うようになったいう説。
背広
日本に洋服が広まる以前は礼服のフロックコートやモーニングコートのような体のラインに沿って縫い目の多い服でした。
それが、ラウンジで着られるようなサックコート(Sack Coat)ようなゆったりした縫い目の少ない、背中が広く見える服「背広」が広まったとも言われ諸説あります。

スーツのパーツ

スーツ(三つ揃)1着には約3メーター前後の生地が必要とします。
紳士服地は通常150センチ前後の幅に織られており、それを半分(75センチ幅)に畳んでいます。(ダブル幅といいます)

その生地を問屋商社は、体格の大きい人にも対応できるようにとの考えから、最初から3.2メーターでカットして販売してるところがほとんどです。
ただ、PB商品やパンチ見本の商品に関しては必要分カットが可能です。

スーツ(三つ揃)には大きくは16個のパーツに分解されます。
ほかには、上衿、見返し、ポケット布など30余りの小さなパーツが必要です。

型紙は体の片側だけを創るわけです。
各々のパーツの型紙がすべて収まるように並べて置きます。

そして、型紙に添ってチャコ(チョーク)で絵を描いていきます。
そのとき、大事なことは生地の地の目を合わせることと、縞や格子柄が関連したパーツに合うようにしなければなりません。
そこで、2枚重ねの生地に鋏を入れて、パーツ毎に裁断していくのです。

ハンデメイドテーラーとして細心の注意を持って、最大の作業です。

ベンツいろいろ

上着の背中の裾に切り込みを入れて開いているのを「ベンツ」と呼ばれています。
古い職人さんは「馬乗り開け!」と呼んでいることもあります。

デザインとして「センター・ベンツ」「サイド・ベンツ」「フック・ベンツ」「インバーテッド・ベンツ」などがあります。
基本的には上着の裾捌きが楽なようにと考えられたようです。

「センター・ベンツ」は乗馬する時に裾が開いていた方が動きやすから!
           モーニングコートや燕尾服の短冊がしかりです。

「サイド・ベンツは」は軍人がサーベルなどを付ける時に剣を抜きやすくするためだとか!

現在のような上着丈のスーツを着用し始めていた当時はベンツは存在していませんでした。
タキシードなどはベンツは開けません。

弊社では「ノーベンツ」をお勧めすしています。
シックで落ち着いて、上品見られますよ。

その分、裾回り(けまわし)を少しだけ広く創ります。

ポケット

ジャケット(上着)のポケットは本来いろいろな持ち物を入れるための袋で、種類、用途、デザインによって数多くにあります。
胸ポケット。脇ポケット。内ポケット。
ちなみに、いままで弊社でご注文いただいたスーツでは大小併せて15個のポケットを作ったことがあります。
それぞれに、中に収める物に合わせて大きさも決めました。
オーダーメイドならではの細工です。

※最近は男性もバックやショルダーを持つことが多く見かけます。
ポケットの多くのものを入れると、どうしてもそこが膨らんで醜いスタイルになりますから、出来るだけバックやショルダーを待たれる事をお勧めします。

●ところで、ポケットの蓋(プラップ)は何故あるのでしょう?
言わずと知れた、雨が入らないように蓋をしたものです。
洋服屋さんは「雨ブタ」と呼んでいます。
アウトドアで使用の時は蓋を外に出し、室内では蓋をポケットの中に仕舞いこんで着用するのが本来のスーツスタイルです。

礼服のや燕尾服やモーニング飾りチーフを入れる胸ポケットだけですし、タキシードの脇ポケットには雨ブタは有りません。(作りません)
黒の略礼服もインドア(式場、宴会場)では雨ブタをポケットの中に仕舞い込むのがマナーと心がけてください。

スーツ創りに欠かせない、糸のいろいろ

1着のスーツを仕立てあげるのには、その目的に応じたいろいろな種類の糸が使われます。
素材として絹(ハブ糸、まつり糸、穴糸)麻(釦付け糸)綿(カタン糸、仕付け糸)を使います。
既製品やイージーオーダーではほとんどをポリエステル製を使っています。

「ハブ糸(細いミシン糸)」 基本の糸
いろいろなパーツをつなぎ合わせるのに使います。
表生地の色と合わせ、ズボンの尻縫い目や力の掛かる部分は二重に縫います。

「まつり糸 」 手まつり糸
上着の裾のまとめ、袖裏と表地を留める、ズボンの裾の始末(千鳥かけ)など手縫い部分に使います。
ベテランの職人は、生地の下に指を添えて、その当たり具合で表に響かないように、表地の1本の糸の中の通して目に触れないように細かく縫うことが出来ます。
糸が解けないように、最後に結び目を作り、糸が出てきた穴に針先を戻し、生地を掬うようにして数ミリ離れたところに針を抜きます。
           
結び目(コブ)は生地の裏側に引き込まれ、生地表からは魔法のよ うに消えてしまいます。

「釦付け糸 」 釦付け専用の糸。昔は麻糸を使っていました。
釦を付ける時、釦穴からボタンがスムースに留め外しが出来るように3ミリ~5ミリの足を作り、それを芯にして糸をぐるぐる巻いて解けないように最後に結び目を作ります。
この結び目が表に目立たないように、糸を釦の足に刺して(通して)戻し最後にもう一度別の角度で芯に通します。

こうすることによって、絶対に解けないボタン付けが出来ます。
ボタンが割れても、糸は解けません。

「穴糸」 釦穴や飾りに使う太めの糸です。
基本的には表地の色に合わせますが、時にはエンジや反対色などおしゃれ感覚で別の色糸にすることもあります。

「カタン糸」  ズボンの腰裏やポケット作りに使う蠟引きの綿糸です。
丈夫ですが、色の種類が限られますので目立つ所には使いません。

「仕付け糸」 パーツを縫い合わせる時の目印のキリビ付け。
本縫いの下準備や仮縫いの縫い合わせに使います。 
           
例えば、袖の裏地を止める時に、袖裏を表地に仮止めします。そして、袖裏に合った色糸のまつり糸でまつり付けて行きます。出来上がれば、仕付け糸は抜かれて仕上げされます。

このように本縫いのとき、あらゆる部分の押さえ糸に使用します。
縫製の過程では大活躍ですが、最後は抜かれほとんどお客様には 目につかない運命にある糸です。

ハンドメイドでは欠かせない糸です。



                     

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