コラム

 公開日: 2015-11-04 

趣味のための本格茶室づくり

露地(ろじ)

茶の湯には「一期一会」という言葉があります。茶会に臨む際、それはただ一度の出会いであることを心得、主客ともに清浄な境地で相対する、ということを言うのでしょう。

茶室はその実践の場であり、茶室に付属する庭「露地」は、茶の湯の深い世界へ誘う道です。本格的な茶室を求めるのであれば、やはりこの「露地」が必要になるでしょう。

露地の形式として現在多く見られるのは二重露地という形式です。

庭全体を、山居に至る道をあらわす外露地、深山幽谷の世界をあらわす内露地の二つにわけたものです。

露地には飛石が打たれ、飛石の一つひとつが山中を行き、峠を越える思いをあらわします。

植栽は、原則としては、華やかな花の咲く木は避け、常緑樹を植えますが、季節の変化への対応を考えて落葉樹を混ぜ植えることもあります。

初風炉

茶の世界では新緑が美しい5月に入ると炉から風炉に変わります。

露地の緑が爽やかな風に揺れ、道具の取り合わせから懐石まで、初夏の薫りが感じられるよう気を配ります。

炉から風炉に替わるのは、寒い冬には客に近い炉を使って暖とし、5月に入り暖かくなると「涼しさを」という心づかいからです。

この風炉の中にも小さな宇宙が広がります。

初夏・盛夏・晩秋にそれぞれ真・行・草と呼ばれる灰型に形を変え、季節の移り変わりを表現します。

客は、露地の緑、風炉の灰の白さ、炭の黒、燃える火の赤─その兼ね合いを愛で、茶の湯の妙を味わうことになります。

俳句では「風炉茶」は夏の季語です。「涼しさの道具にきざす風炉茶かな」。いい句ですね。

茶室は季節を感じる空間

茶道は季節感をとても大切にします。

季節によって用いる道具が変わり、茶室の設えもかわります。

たとえば春の茶会には、床の間に春の景物が描かれた短冊を配し、茶杓などの道具も春にちなんだ銘を持つものを用いたりします。

夏には夏の、秋には秋の、冬には冬の─それぞれの季節にふさわしいものを用意します。

道具ひとつにしても季節に合わせることで、茶室を、季節を全身で感じる空間にするのです。

また、こうした道具、茶室の設えが、雅やかな茶席での会話を生むもとにもなります。四畳半の小さな空間に季節を呼ぶ、そうした茶室にしたいものですね。

茶の湯は露地口を入る時から始まるとされ、利休は露地を「浮世(うきよ)の外ノ道」と言いました。

この記事を書いたプロ

株式会社ローバー都市建築事務所 京都オフィス [ホームページ]

一級建築士 野村正樹

京都府京都市上京区浄福寺五辻上ル杉若町674  ザイキビル2F [地図]
TEL:075-451-5777

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
お客様の声
イメージ

■<西陣大宮の町家> お客様の声http://www.rover-archi.com/voice/nishijin_nn/

 
このプロの紹介記事
ローバー都市建築事務所の代表で一級建築士の野村正樹さん

伝統の尊重と自由の精神で、幸せな住まいづくりを設計(1/3)

 「京都の良さ=和風ではありません」と語るのは、京都の西陣で生まれ育った一級建築士の野村正樹さん。2000年に独立し、西陣の一角に立つ町屋を改装してローバー都市建築事務所を開業しました。 野村さんにとって、モデルハウスなどで見かける町屋...

野村正樹プロに相談してみよう!

京都新聞 マイベストプロ

事務所名 : 株式会社ローバー都市建築事務所 京都オフィス
住所 : 京都府京都市上京区浄福寺五辻上ル杉若町674  ザイキビル2F [地図]
TEL : 075-451-5777

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

075-451-5777

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

野村正樹(のむらまさき)

株式会社ローバー都市建築事務所 京都オフィス

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
京都発 Book&Cafeの新潮流
イメージ

首都圏を中心に近年多く見られる「Book&Cafe」スタイルの書籍店。 書籍売場と併設して喫茶スペースを設けること...

新しい感性を吹き込む京町家
イメージ

 先日、四条花見小路を西に入った四条通南側に面する京町家を再生する機会に恵まれた。この京町家は喫茶店やギャ...

昭和の名庭 余香苑
イメージ

 「妙心寺 退蔵院」内にある、庭園「余香苑」は、枯山水庭園「元信の庭」と並び、退蔵院を代表する庭園であり、ミ...

狩野派絵画を庭園にみる
イメージ

 平安時代から四季折々に美しい花畑に囲まれ、いつしか人々から「花園」と呼ばれるようになった右京区花園。その...

観光地にある観光トイレ
イメージ

 京都の寺院の境内には「観光トイレ」と呼ばれる公衆トイレが存在する。現在、京都市内では妙心寺、金閣寺、仁和...

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ