コラム

 公開日: 2015-12-16 

うなぎの寝床・狭小住宅で光と風を取り入れる設計

京町屋のつくり

京町屋は間口が狭く、奥に細長い「うなぎの寝床」と呼ばれる敷地に立っています。

家屋が密集し、両脇が隣家と接する居住環境は決して恵まれた環境とは言えません。

しかし、そうした条件のなかでも、暮らしやすい住まいにするためのさまざまな工夫がとられてきました。

町屋の表を飾る格子もその一つです。「表格子」と呼ばれますが、風通しをよくし、光を取り入れるほか、外から中を見えにくくするブラインドの役目も持っています。

玄関から奥に続く土間は「通り庭」と呼ばれ、中間に炊事場があり、ここを「走り庭」と言います。

走り庭にはおくどさん(かまど)がありますが、その上は高い吹抜けになっており、煙を出すための高窓や天窓があり、採光の役割も担っています。

風を通し、涼を呼ぶ工夫

京町屋には「坪庭」が設けられ、ここは風通しと採光の役割を兼ねていています。暑い夏、坪庭に打水をして、表通りとの温度差を生むことで、風を呼び込みます。

また、夏になると、町屋では「建具替え」と言って、ふすまや障子を簾(すだれ)や簾戸(すど)に替えて、風通しをよくしました。

また、足下には網代(あじろ)や藤筵(とむしろ)といった敷物を敷き、座布団、衝立、掛け軸も夏用に替えて、涼を呼んでいました。

軒先につるす風鈴の音も涼を呼ぶ工夫の一つです。

京町家には、五感で感じられる、快適に過ごすための仕掛けがあちこちに散りばめられています。また、こうした日々の暮らしに対する工夫や知恵が、生活にリズム感や潤い、そして、けじめを生んできたことも見逃せません。

光を取り入れる工夫

京町屋の表から奥に続く「通り庭」は、風の通り道、光の通り道といった機能があります。

通り庭を介して通風・採光を各部屋に確保する合理的な仕組みになっています。

また、京町屋の2階の壁に見られる「虫籠窓(むしこまど)」も、通風・採光の役割を果たしています。

虫籠窓の内部には障子があり、その開け閉めで風と光を調節しました。

通風・採光面では、走り庭の上部空間「火袋」をあげることもできますが、その空間にあらわれる木造の軸組構造の意匠は伸びやかで美しく、通風・採光といった機能面とはまた別の面で「気持ちのいい暮らし」をかたちづくってきたと言えるでしょう。

この繋ぎ梁の架構は職人の技を競い合う場であったそうです。

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