コラム

 公開日: 2013-03-25  最終更新日: 2014-07-03

狩野派絵画を庭園にみる

 平安時代から四季折々に美しい花畑に囲まれ、いつしか人々から「花園」と呼ばれるようになった右京区花園。その地にある、臨済宗 妙心寺派大本山の寺院「妙心寺」は、建武4(1337)年に花園法皇が自らの離宮を、禅寺へと改めたのがその始まりである。

 応永11(1404)年の創建以来、600年以上の歴史を持つ山内屈指の塔頭「退蔵院」は、山水画の始祖、如拙(じょせつ)に よる初期水墨画の代表作、国宝「瓢鮎図(ひょうねんず)」が所蔵されていることで有名である。如拙の画風は、後に雪舟や狩野派の 画家達にとって、大きな影響を与えたものであった。

 退蔵院の境内には大きく2つの庭園があり、そのひとつである、枯山水庭園「元信の庭」 は、室町時代の画聖・狩野元信(狩野派)の作品である。国内にある多くの枯山水庭園が、著名な禅僧や造園家が作者であるのに対 し、画家自身が作庭を行っていることは大変めずらしいことであり、興味深い。50坪あまりの敷地の中で、水が滝より大海に流れ込むま での様子が白砂によって表現されている。築山の足下に蓬莱山石組を据えながら枯滝を配し、枯池にある亀島に石橋をかけた奥行きの ある表現は、独特の風格を備えている。有名な「龍安寺石庭」と比べ、画家らしく絵画的で曲線と常緑樹を主流とした優美な趣のこ の庭園は、自分の描いた絵をもう一度立体的に表現しなおした、 画家・狩野元信の晩年の作品となっている。


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