コラム

 公開日: 2018-05-14 

住宅購入と頭金③

前回に引き続き、住宅購入における頭金についてのお話です。

参考までに、
1回目は、「頭金としていくら使っても大丈夫なのかをまず考える」
2回目は、「頭金なしでも購入できるが、返済額が家計に見合っているかに注意する」
という結論でした。

換言すると、住宅購入における頭金の金額はそれ自体の多寡が重要なのではなく、頭金を払った後の貯金額やローン返済額と家計のバランスが重要だということです。
フルローンやオーバーローンという一見危なそうなローンの組み方でも、決して問題のない場合もありますし、反対に全額現金購入したとしても家計上よろしくないケースも考えられるのです。

では、頭金を入れる事にメリットはあるのでしょうか。
以下、3つのポイントを確認しましょう。

1、住宅ローンの借り入れ条件が有利になる場合がある
2、手付金等の支払いに金策が不要
3、含み損になるリスクが減る


まず1ですが、住宅ローン審査では自己資金をどれだけ入れるかということも審査対象となります。
フルローンやオーバーローンと比べて、銀行側の貸し倒れのリスクが少ない分、有利な適用金利を引き出すことができます。
反対に言うと、フルローンやオーバーローンを希望する場合は、多少金利が高くなる可能性があることを知っておく必要があるでしょう。
また、そもそもフルローンに対応していない住宅ローン商品もありますので、頭金がないよりはあるほうが選択肢が増えます。


2に関しては、取引の流れを考えれば想像できるかもしれません。住宅購入にあたっては、まず売買契約をして手付金を支払います。その後、住宅ローンの本審査が無事通った後に借入金で残代金を支払うことになります。
仮にオーバーローンで話を進めるとしても、一旦手付金(及び不動産業者によっては仲介手数料の半額程度を契約時に受領するケースもあります)等の支払いは先にしなければなりませんので、手元にまったくお金がないとしたら何らかの金策をしなければなりません。
こういった場合は、手付金を低額にしてもらうとか、仲介手数料の支払いを決済時にしてもらうなどの融通をきいてもらえるように、不動産業者・売主に事前に相談する必要があります。
自己資金を入れる場合には、これらの煩わしいやり取りを省くことができますので、これもメリットと言えるでしょう。

3は、購入後の話になります。仮に、4000万円の住宅を4400万円のローンを組んで購入したとしましょう。購入後、なんらかの事情ですぐに物件を売却しなければならなくなった時、物件の市場価格が購入時と同じ4000万円だとしたら、超過する借入金(400万円)は現金で用意しなければ抵当権の抹消が出来ないことになります。売却時にも仲介手数料等の経費がかかることを考えると、4000万円で売却するには550万円ほどの持ち出し資金が必要だということです。
買ってすぐなら上記のような計算になりますが、数年経つとローン残高は徐々に減りますので、状況はマシになるかもしれません。しかし、売却価格自体も経年によって減価が想定されることを考えると、「売却価格-売却経費>ローン残高」になるまでには時間がかかるでしょう。この点はオーバーローン、フルローンのリスクとして認識してください。
一方、購入時に自己資金を入れていた場合は、買ってすぐに売却することも可能です(損得で言えば損になることは間違いありませんが)。もしもの場合に融通が利くのは自己資金ありの場合といえるでしょう。


以上、頭金を入れるメリットについてご紹介しました。
これらは手元にお金がないケースにはぴったり当てはまるのですが、そうでないとしたら覆すことも可能です。

仮に自己資金2000万円ある方がオーバーローンを考えている場合、

1、自己資金はあるんだと銀行にアピールすること(見せ金)で、オーバーローンでも有利な条件を引っ張ることも可能
2、資金はあるので金策は不要、ローン実行時に立て替えた資金を回収できる
3、含み損が売却を妨げる場合には自己資金で穴埋めすればよい

ということです。

もしも住宅ローン控除が受けられ、かつローン金利がローン減税以下(1%以下)であれば(ローンにかかる諸経費は考慮しないとして)、借入額を当初大きくしておく方がいいというケースもあります。
そして10年経過後に繰り上げ返済するという方法もありますし、団信を生命保険戦略の一環として考え、あえて繰上げ返済せずにおいておくという方法も考えられます。

このように、自己資金があるのに敢えてフルローン、オーバーローンにすることも考えられます。
迷わせるようなことを言っているかもしれませんが、これらもまた事実なのです。


少しまとめてみましょう。

〇自己資金がない(物件価格の1割以下)場合
・フルローン、オーバーローンのリスクを知った上で、購入すべきか検討するとよい
・ローン返済額と家計のバランスをよく考えること

〇自己資金がある場合
・頭金を入れる事のメリットをよく理解すること
・頭金を敢えて入れない戦略を考えることも可能
・頭金投入後の貯蓄残高とローン返済額、家計のバランスを総合的に検討すること
・もしもの場合に対応できる柔軟性をもった家計設計を心がけること


頭金は多いに越したことはありませんが、いくら投入すべきかということについては、

・家計の状況
・ローン条件
・税制優遇措置
・生命保険戦略

などの観点から、総合的に判断することが重要なのです。

これから住宅購入を検討される方は、是非参考にしてください。

この記事を書いたプロ

大峰FP事務所 [ホームページ]

ファイナンシャルプランナー 田中裕晃

京都府京都市左京区山端壱町田町8番地49  プラザ修学院アーケード内 [地図]
TEL:075-706-0800

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
料金体系

各種相談(60分)       5,000円 初回相談 1時間無料 家計簿診断          10,000円 キャッシュフロー表作成    30,...

 
このプロの紹介記事
夢のマイホーム購入を支援する家計改善のプロ 田中裕晃さん

住宅購入をワンストップでサポートするお金と不動産の専門家(1/3)

 不動産会社「株式会社 大峰」の経営者でもある田中裕晃さんが、ファイナンシャルプランナーの資格を取得したのは2014年のこと。大手不動産会社に勤務している時、住宅ローンが払えずに困っている家族を、数多く見てきたことが動機だったそうです。...

田中裕晃プロに相談してみよう!

京都新聞 マイベストプロ

不動産とお金の専門知識を活かしたワンストップの住宅購入支援

事務所名 : 大峰FP事務所
住所 : 京都府京都市左京区山端壱町田町8番地49  プラザ修学院アーケード内 [地図]
TEL : 075-706-0800

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

075-706-0800

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

田中裕晃(たなかひろあき)

大峰FP事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
住宅ローン控除の居住要件

住宅ローンを組んで住宅を購入、あるいは新築する場合、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)による税金の還付...

[ 不動産購入 ]

住宅購入と頭金②

前回は、「現状であればいくら頭金として使っても大丈夫なのか」ということをまず考えるべきだと結論付けました。...

[ 不動産購入 ]

住宅購入と頭金①

住宅購入を検討する時、多くの方は住宅ローンを利用します。この時に悩むポイントの一つとして、「頭金はいく...

[ 不動産購入 ]

家計簿のつけ方

ファイナンシャルプランナーに相談したいけれども一歩踏み出せないという方の中には、「家計簿をつけていないの...

[ 家計管理 ]

住宅は「購入」か「賃貸」か、どちらがいい? ③

前回は、「住宅は購入すべきか、それとも賃貸で過ごすべきか」という問題を金銭的な損得の面で考えてみました。...

[ 不動産購入 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ